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障がい者の方のなかには、なかなか仕事を見つけられずに就職を諦めている方もいるかもしれません。
たしかに障がい者の雇用にはまだまだ課題が残されていますが、「障がい者だから働けない」というわけではありません。
この記事では働きたい障がい者の方に向けて、障がい者の仕事内容や働き方をご紹介します。
障がい者の雇用状況についても合わせてお伝えしますので、障がい者を雇用したい方もぜひ参考にしてください。
障がい者の雇用状況
一般的に障がい者の雇用は難しいと言われますが、障がい者雇用の現状や障がい者雇用に関わる制度についてはよくわからないという方も多いでしょう。
まずは、現在障がい者がどれくらいいるのか、障がい者雇用状況はどうなっているのかをお伝えします。
<障がい者はどれくらいいるのか>
日本には、どれくらいの障がい者がいるかご存知ですか?
平成30年におこなわれた内閣府の調査では、身体障がい者が約436万人、知的障がい者が約108万2千人、精神障がい者が約392万4千人いると発表されています。
1,000人あたりで考えると、身体障がい者は34人、知的障がい者は9人、精神障がい者は31人ということになります。
障がいを複数併せ持つ方もいますが、この数字から約7.4%がなにかしらの障がいを持っているといえるでしょう。
このように障がい者が増えている理由としては、高齢者の増加や現代社会による影響、障がいに対する認識の広がりなどがあげられます。
また、障がい者人口の増加とともに福祉施設の需要も高まっていますが、供給が間に合っておらず、新たな社会問題として取り上げられている状況です。
<障がい者の雇用問題>
障がい者が増える一方で雇用には多くの問題が残されており、「障がい者が仕事を見つけられない」といったことも珍しくありません。
企業が障がい者を雇用しない理由としては、「障がい者に適した業務がない」「職場で馴染めるかわからない」「施設や設備が対応していない」などの理由があげられます。
受け入れる体制が整っていないことでハードルが高く、障がい者雇用が進まないといった現状があるのです。
また、企業のトップが障がい者雇用に意欲的でも、採用担当者や受け入れ部署の負担が大きく社内の理解を得られないといったこともあります。
反対に障がい者としても、障がい者に慣れていなかったり障がいの知識がなかったりする職場だと、働くことに不安を感じる方もいるでしょう。
<障がい者の法定雇用率の引き上げ>
障がい者の雇用がなかなか進まないことで、国も企業に障がい者を雇用するよう働きかけています。
障がい者雇用率制度では、一定の割合で企業は障がい者を雇用しなければなりません。
この割合を法定雇用率といい、法定雇用率未達成の企業は障がい者雇用納付金の納付が義務付けられていますが、民間企業の過半数以上が未達成です。
このようななか、障がい者に仕事を外注できる「障がい者みなし雇用制度」が注目されています。
障がい者みなし雇用制度については、こちらの記事をご確認ください。
障がい者に向いてる仕事内容と働き方
障がい者の方が就労を目指すなら、向いている仕事内容と働き方を知っておきましょう。
<障がい者の働き方>
障がい者の方が仕事をするには、3つの働き方があります。
- 一般枠での就労
一般枠での就労では、一般向けの求人に応募して採用試験を受けることになります。
一般的な就職活動をするので職種の幅が広く、自分がやりたい仕事にチャレンジすることが可能です。
しかし、一般枠での採用は狭き門であり、採用後に障がいの配慮が少なかったりするかもしれません。
- 障がい者雇用枠での就労
自治体や一定規模以上の事業所では、障がい者雇用を促進するために障がい者雇用枠を設けています。
一般枠とは異なり障がい者専用の枠になるので、合理的配慮が義務付けられ、障がい者が働きやすい環境が求められています。
一方で、障がい者雇用枠の業務は軽作業や単純作業であることが多く、給料も低くなってしまうでしょう。
- 就労継続支援事業を利用
就労継続支援事業とは障がい者福祉サービスの一つで、障がい者は登録された事業所で就労に必要な知識やスキルを磨きながら、一般就労を目指します。
就労継続支援事業には2つ種類があり、A型では雇用契約のもと最低賃金が保証されますがB型には雇用契約がありせん。
<障がい者の職種や仕事例>
障がいの種類によって向いている職種や軽度は異なりますが、知的障がい者を受け入れている事業所ではパンやお菓子の製造販売が多くなっています。
一方、精神障がい者はデータチェックや書類作成などの事務作業、身体障がい者の方もデスクで作業できる事務作業やエンジニア、コールセンターでの勤務などが向いているでしょう。
いずれにせよ、自身の障がいの特性を理解したうえで仕事を選ぶことをおすすめします。
<障がい者を雇用するうえで企業が配慮すべき点>
はじめて障がい者を雇用するとなると、不安に感じ、どのように配慮すべきか戸惑ってしまう企業もあるでしょう。
具体的には、以下のことに注意するとよいです。
- 業務量や進捗状況を把握し適切かどうか確認する
- 入社当初は小休憩をこまめに挟む
- 業務上の相談窓口をあらかじめ定めて周知する
こういった配慮は障がい者の方だけではなく、ほかの社員が働きやすい環境を作るときも重要です。
障がい者の働きやすさを考慮することで、社内の働き方を見直すことに繋がりますよ。
障がい者が仕事を探すなら利用したい機関
最後に、障がい者の方が仕事探しで相談できる機関をご紹介します。
仕事内容も大事ですが、「どのように仕事を探すのか」ということも重要ですよ。
さまざまな機関を利用し、上手に自分に合った仕事を探しましょう!
<ハローワーク>
ハローワークには、一般向けの窓口と障がい者専門窓口が設けられています。
手話や筆談ができる支援員や精神障がい者の支援に特化した支援員がいるので、障がい者専用窓口がおすすめです。
また、履歴書の書き方や向いている仕事のアドバイスを教えてもらえたり、無料の職業適性検査を受けたりすることが可能です。
いきなり就職が難しければ就労継続支援事業の事業所を紹介してもらえるので、まずはハローワークを利用してみましょう。
<障がい者職業センター>
障がい者職業センターとは全国の都道府県に最低1箇所は設置されている機関で、就労したい障がい者に対して、職業準備支援や事業所への専門的な助言をおこなっています。
障がい者就労支援のプロである障がい者職業カウンセラーやジョブコーチなどが在籍しているので、高い専門性のある支援が受けられます。
<障がい者就業・生活支援センター>
障がい者のなかには、働きたいけど不安という方もいるでしょう。
そういった方は、まず障がい者就業・生活支援センターに相談してみましょう。
障がい者就業・生活支援センターでは、相談に応じて生活支援を受けられ、必要であれば医療機関を紹介してくれます。
働くうえで必要な健康管理やお金の管理方法をアドバイスしてくれたり、契約の手続きの助言をもらえたりするので、安定した職業生活の実現を目指せますよ。
まとめ
日本の障がい者は以前よりも増加傾向にあり、障がい者の雇用が進まないといった現状があります。
しかし、障がい者が利用できる機関や制度が存在し、障がい者だからという理由で就労できないというわけではありません。
まずは、障がい者の働き方や自分に向いている仕事を知ることからはじめるとよいです。
また、企業は障がい者への配慮が求められますが、障がい者の方も障がいの症状をすべて伝えておくなどして、お互いに働きやすい環境を作っていきましょう。