目次
就労継続支援制度とは、障がいなどで働くことが難しい人に対して、働くことを支援する制度のこと。
障がい者総合支援法に基づく福祉サービスで、就労継続支援A型と就労継続支援B型の2種類があります。
今回はこの就労継続支援A型について、その特徴や利用方法などをお伝えします。
就労継続支援A型はどんな制度?
就労継続支援A型は、特別支援学校を卒業したあとに就職できなかった方などを対象にしています。
18歳以上65歳未満という年齢制限がありますが、就労継続支援B型よりも一般企業への就職しやすいためメリットも大きいです。
<就労継続支援A型の特徴>
就労継続支援A型の一番の特徴は、何と言っても企業と雇用契約を結べることでしょう。
そのため最低賃金が保証されることで安定した給与が得られ、また、就労しながら技術や知識を身につけられるので一般企業への就職を目指せます。
一般雇用と違う点は勤務時間が短く設定されていることで、1日の実働時間が4時間~8時間程度が一般的です。
<就労継続支援A型の仕事内容>
就労継続支援A型の仕事内容は多岐に渡り、カフェやレストランの仕事や販売店での接客のほかに、パソコンでデータ入力、シールを貼るなどの軽作業などがあります。
基本的に一般就労と同じような環境で働くことが可能で、サービス管理責任者や職業指導員などのサポートを受けながら無理せず働けます。
また、就労継続支援A型は雇用契約を結ぶので、労働基準法や最低賃金法が適用され、安心して就労できることも大きなメリットでしょう。
<就労継続支援事業所の選び方>
就労継続支援事業所とは、就労を希望する障がい者をサポートする施設で、就労に必要な技術や能力を身につける場所でもあります。
障がい者がA型を受ける場合はA型の就労継続支援事業所と雇用契約を結びますが、さまざまな事業所が存在するので、事業所を選ぶ際にはいくつかポイントを押さえておきましょう。
①仕事内容
事業所によって仕事内容は異なるので、まずは自分に合っているか、続けられる仕事内容かどうかをチェックしましょう。
たとえば、カフェやレストランで調理の補助をする仕事でも、どこまで補助をするのかは事業所によって変わります。
そのため、事業所に見学に行き、細かく仕事内容を確認してみてください。
また事業所によっては実習体験ができるので、可能であれば実習させてもらい、仕事内容や仕事のペースが自分に合っているのか確かめておきましょう。
②事業所の雰囲気
事業所の雰囲気は、これから働いていくうえで重要になります。
事業所のバリアフリーの現状や自宅から通えるかどうかといった点だけではなく、他の利用者の様子やサポートする職員の数、利用者への接し方や経験年数なども確認しておくと、実際に働いたあとのイメージを想像しやすいでしょう。
③給料
就労継続支制度では、就労経験やスキル、知識をつけることが一番の目的である方も多いでしょう。
しかし、給料も働く動機となるため、きちんとどれくらいの給料がもらえるのか知っておくことは重要です。
さらに、就労継続支援A型でも障がい者と事業所が合意すれば、最低賃金以下で雇用することが認められる場合もあります。
雇用契約を結ぶ前に、必ず事業所と給料について説明を受けましょう。
④安易に事業所を決めないこと
「社会に早く出たい」や「早く働きたい」という気持ちが抑えられず利用する事業所を安易に選んでしまうと、後悔する可能性が高まります。
たとえば、自宅から近く通いやすからという理由で選んだとしても、事業所によっては交通費を支給しているところもあります。
一つだけの理由で事業所を選ぶよりも、さまざまな方面から考えて自分に合う事業所かどうか見極めるようにしましょう。
就労継続支援A型の利用方法とは
それでは、就労継続支援A型はどのように利用すればよいのでしょうか?
ここでは、利用するまでの流れについて紹介します。
①事業所を選ぶ
利用する就労継続支援事業所を選びましょう。
ハローワークや市区町村の窓口では、A型事業所の求人を紹介してもらえます。
他にもインターネットで求人を探せるので、事業所に直接問い合わせることも可能です。
②選考を受ける
応募した事業所が見つかれば履歴書を用意し、面接を受けます。
希望する事業所が応募のために必要な手続きを案内するので、それに従って選考に進みましょう。
③市区町村の窓口で利用申請する
無事に面接に合格したら、市区町村の窓口で就労継続支援A型の利用を申請します。
担当調査員によって生活状況の聞き取り調査があり、正式に就労継続支援の利用が認められます。
サービスの利用等利用計画書を窓口に提出したら、障がい者福祉サービス利用受給者証が発行されて完了です。
この受給者証を事業所に持参し雇用契約を結べば、勤務開始となります。
就労継続支援制度A型のメリット・デメリット
就労継続支援制度A型には、メリットもあればデメリットもあります。
<就労継続支援制度A型のメリット>
就労継続支援制度A型のメリットは、やはり最低賃金が守られているので給料が保証されていることでしょう。
また、事業所にいる職業指導員が障がい者の適性をもとに任せる仕事内容や量を調整します。
自分の障がいの特性やペースを守りながら勤務できることも安心できる要因のひとつです。
また、対象年齢に制限があるものの雇用の期間は決められておらず、一般就労に比べて残業なども少ないという環境もメリットと言えます。
<就労継続支援制度A型のデメリット>
就労継続支援A型はあくまでも事業所に通所するというものなので、一般企業に就職するために特化した訓練はありません。
たとえば、就職に向けて必要な資格取得の学習やビジネスマナー、履歴書の手添削や面接の練習などは事業所でおこなわれないのです。
そのため、一般企業への就職を望む障がい者は事業所での勤務時間の間を利用するなど、自分で準備を進めていかなければなりません。
またこういったことに加え、A型の事業所では比較的安定した給料も貰えるので、事業所での居心地や雰囲気がよく一般企業への就職意欲が薄まることも。
ただ、A型の事業所であれば雇用期間に制限はなく、必ずしも一般企業に就職しなければならないということではありません。
事業所の環境や障がい者のライフプランによっては、デメリットもそれほど気にはならないでしょう。
<職業訓練を重視するなら就労移行支援>
このような就労継続支援制度のデメリットが気になる方は、就労移行支援事業所もおすすめします。
就労移行支援事業所は、より就労に向けたサポートを受けられ、就職に役立つスキルや知識を学べます。
履歴書や応募書類の添削、模擬面接などもあるので、就活に向けて訓練したい方におすすめです。
しかし、就労移行支援制度では給料は発生せず、利用期間も2年と決められているのでA型で就労経験を積んだあとに利用するという流れもよいでしょう。
<就労継続支援A型の利用料金は?>
就労継続支援A型は福祉サービスなので、利用する障がい者はサービス利用者という立場になります。
そのため、条件によってサービス利用料を支払わなければなりません。
生活保護受給世帯/市区町村民税非課税世帯:利用料は無料
市区町村民税課税世帯で年収が600万円以下の世帯:9,300円
年収600万円以下の世帯のうち20歳以上のクループホーム・入所施設利用者/市区町村民税課税世帯で年収が600万円以上の世帯:37,200円
まとめ
今回は、就労継続支援A型の特徴や利用するまでの流れについて紹介しました。
就労継続支援A型の利用は一般就労に切り替えたいのか、もしくは無理のない環境で働きたいのか見極める機会になるでしょう。
利用する前には働くイメージが持てず不安を感じても、働いてみることで希望する仕事内容やどう働きたいのかがわかると思います。
市町村の窓口でも相談できるので、ぜひ気軽に問い合わせてみてくださいね。