点訳と音訳のボランティア活動について~需要や向いている人の特徴など~

福祉に関するボランティアといえば、老人ホームでの介助サポートや、児童施設での絵本の読み聞かせなどが有名でしょうか。

今回は、少し珍しい「点訳」と「音訳」のボランティアについてご紹介します。

障がい者支援の活動をしたい方や、活字に触れるのが好きな方にはぴったりのボランティアかもしれません。

仕事ではなくボランティアとして活動することの魅力についても記述しています。ぜひ、最後までご覧くださいね。

 

点訳・音訳とは?活動内容について

点訳・音訳とは?活動内容について

点訳と音訳のボランティアは、どちらも福祉に関する活動です。

点訳は、活字を点字に訳すこと。

音訳は、活字を音声に訳すことをいいます。

これらは主に、視覚に障がいのある方々をサポートする活動となっています。

視覚に障がいがあるといっても、人によってその程度や症状はさまざま。

点訳や音訳を必要とする視覚障がいには、このようなものがあります。

  • 視覚からの情報を全く得られない(全盲)
  • 文字を拡大したり視覚補助具を利用したら見える(弱視)
  • 見える範囲が狭かったり欠けたりして見えづらい(視野障がい)

ほかにも、色覚障がいや光覚障がいなどもありますが、点訳や音訳を必要としているのは、主に上記に当てはまるような方々です。

視覚からの情報を得るのが難しい方や

点訳と音訳の活動内容について、もう少し詳しくみていきましょう。

 

点訳とは

私たちが目で読む文字を「墨字」というのに対し、縦3 x 横2のマスにある点を組み合わせて表した文字を「点字」といいます。

視覚に障がいのある方々は、墨字で書かれた活字を読めなかったり、読むのが難しかったりします。

そのため、視覚の代わりに体の感覚を使って文字を読み取る点字が普及しています。

この墨字を点字に訳す作業が点訳です。

点訳の作業を行っている人を「点訳者」「点字通訳者」などと呼びます。

点訳には点字器という専用の機械を使用し、針のような点筆を用いて紙に記していきます。

点字のマスは世界共通で、言語によって点の配置が異なります。

日本語だけでなく、英語や中国語の点字を覚えて活躍することも可能ですよ。

 

音訳とは

音訳は、墨字を音声に訳して伝えることをいいます。

本の内容を音声として読み上げるといえば、朗読と似ているかもしれません。

しかし、朗読と音訳では求められるものが異なります。

朗読は感情表現やセンスが求められるのに対し、音訳は書かれている情報を正確に読み上げられることが重視されます。

本や雑誌などに写真やグラフが載っていれば、それを音声で伝える技術も必要となります。

英語関係の資料の音訳が必要になる機会もありますから、語学力を生かしてボランティア活動をしたい方にもおすすめです。

「点字があるのに音声も必要なの?」と思った方もいるでしょうか。

実は、視覚障がい者の点字識字率はそれほど高くありません。

立命館大学生存学研究センター報告書によると、点字の識字率は視覚障がい者の約一割程度。

後天的に視覚障がいとなった方にとって、点字を覚えるのは一苦労なのです。

そのため、耳から情報を取得できる音訳も、点訳と同様に必要な活動といわれています。

参考サイト:

 

点訳・音訳をするために必要な資格とは?どんな人が向いている?

点訳・音訳をするために必要な資格とは?どんな人が向いている?

点訳や音訳をするために必要な特別な資格はありません。

しかし、点訳をするには点字についての知識が必要ですし、音訳をするには正しい伝え方や発声の練習が必要になります。

そのため、これらの技術を身につけるため専門学校へ通ったり、講座を受けたりするのが一般的です。

講座は、図書館や社会福祉協議会、地域のボランティアグループなどが開催していますよ。

点訳や音訳に必要なのは技術だけではありません。

 

  • コツコツと取り組める根気さ

点訳や音訳の目的は「目の不自由な方の役に立つこと」です。

自分が読みたい本を翻訳するわけではありません。

たとえ本の内容に興味がなくても、利用者が読みたいと思っている墨字を訳すのが活動内容となります。

それは、とても根気のいる作業です。

人のためを思ってコツコツと取り組める人に向いている活動だといえるでしょう。

 

  • 文章の読解力

点訳や音訳は、文章を理解したうえで、技術やルールに従って作業を行います。

自分自身が文章の内容を理解していなければ、情報を正しく伝えられません。

そのため、点訳者や音訳者には読解力が必要となります。

国語能力も必要といえるでしょう。

 

  • コミュニケーション力

「文字を相手にする活動なのにコミュニケーション力も必要なの?」と疑問に思った方もいるでしょうか。

たとえば点訳では、活字を点字に翻訳したあと校正が行われます。

校正は他の点訳者が行うダブルチェックのようなもので、その方とコミュニケーションを取る機会があります。

また音訳では、音声を録音として完成させるだけではなく、対面でリアルタイムに音訳を行うこともあります。

この場合、利用者の目の代わりになって本探しを手伝うところからサポートするのも、音訳者の活動の一つです。

文字と向き合うといっても、根幹にあるのは福祉活動です。

人と人のあたたかい繋がりが重視される傾向は強いでしょう。

そのため、相手を尊重したやさしいコミュニケーションができる人は、点訳者や音訳者に向いているといえそうです。

 

  • 年齢制限

点訳や音訳の活動に、具体的な年齢制限が決められているわけではありません。

しかし、声の老化にともない技術が低下すると、正しい音訳ができない場合があります。

そのため、音訳については図書館や施設、ボランティアグループなどそれぞれが取り決めを設けているケースがあります。

詳しくは、ボランティアとして参加したい施設や団体に問い合わせてみましょう。

 

点訳・音訳のボランティア活動の需要ってどれくらいある?

点訳・音訳のボランティア活動の需要ってどれくらいある?

点訳と音訳のボランティア活動をしようと思って勉強をはじめても、活躍できる機会がないと寂しいですよね。

近年ではIT技術が進歩しており、点字化や音声化に人は必要ないのでは…と思う方もいるかもしれませんね。

結論からいえば、点訳や音訳は需要のある活動だといえるでしょう。

点訳は漢字で表記されている墨字を、ひとつひとつカナ表記に直して翻訳していきます。

この作業を機器が完璧に行うのは難しく、今でも人が校正として関わっています。

また、図や写真の説明は、まだまだ機械には難しい部分があり、音訳も人の力が必要です。

「人の声の方が安心する」という高齢の方もいます。

そして、先ほども述べたように、福祉は「人」の温かさや優しさが重視される世界。

人口減少や技術の進歩により必要人数は減っていくかもしれませんが、完全になくなることはないでしょう。

 

点訳の活躍場所は点字図書館や点字出版所など。

目の不自由な方が訪れる点字図書館は、すべての都道府県に1か所以上あり、点字出版所は全国に30か所以上あるといわれています。

音訳の活躍場所は図書館や地域のボランティア団体などです。

自身の地域でボランティアの募集がないかチェックしてみましょう。

点訳や音訳の知識を仕事として活かしたい方は、指導員として講座を開くなど、指導的な立ち位置になることをおすすめします。

そのためには、より専門的な知識を修得しなければなりませんから、お金を払って本格的に学校へ通ったり、資格取得にも目を向けたりした方がよさそうです。

 

仕事とは違うボランティアの魅力とは?

 

ボランティアの魅力は、お金では学べない価値があることでしょう。

とくに福祉系のボランティアは、人のために役立っているという「やりがい」を感じられる機会が多いですよ。

仕事は対価としてお金を得ますが、ボランティアは対価として感謝の気持ちや人の温かさに触れられる活動だともいえます。

また、ボランティア活動を通して地域社会の課題を身近に感じ取れるようになったり、新しいコミュニティーが広がったりといったメリットもあります。

 

まとめ

 

点訳や音訳のボランティアは、目の不自由な方々をサポートできる活動です。

機械化が進む現代でも、人の関わりが重視される福祉業界では需要のある活動だといえるでしょう。

活字が好きでコツコツと取り組める方や、文章を読み取る力を活かして福祉に貢献したい方などにおすすめのボランティアですよ。

 

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