目次
「トイレ以外のところで粗相をする」
「無駄吠えが止まらない」
このような悩みを抱えた飼い主さんはいますか?
今回はペットと問題行動のお話です。
問題行動にはどんなものがあるのか、その原因や対策方法は何かをご紹介します。
ペットの問題行動とは何を指す?
まず、ペットの問題行動を考えるうえで大切な視点を知っておきましょう。
それは、ペットの問題行動が本当に「問題」なのかどうかです。
人間が考えている問題行動とは、人との生活上で「問題」とされていることです。
犬や猫からすると「正常」な行動かもしれません。
犬や猫同士の社会であれば正常と考えられる行動も、人間社会では問題行動と捉えられてしまうのです。
問題行動の中でも、「異常行動」と呼ばれる行動は、生物的に備わっていない行動が見られたり、発達不足などが考えられたりします。
異常行動は病気や老いが原因となっている可能性が高いので、獣医さんに相談すべき事柄でしょう。
以下、問題行動としてあげられる種類をいくつか紹介します。
- 攻撃行動をする
噛む、ひっかくなどの行動がこれにあたります。
飼い主だけでなく、他の人や動物にも攻撃的な行動を見せることもあります。
- 無駄吠えをする
来客者にずっと吠えていたり、飼い主の食事中に吠えていたりといった無駄吠えも、問題行動のひとつです。
理由は警戒心や要求吠えなどさまざまです。
- 粗相をする
こちらは、日頃からトイレを覚えてくれないケースもあれば、普段はしっかりしているのにたまに粗相をしてしまうケースもあります。
- 分離不安
分離不安症は心の病気です。
飼い主さんと離れることに不安を覚え、留守番ができない、家の中でもずっとついてくるなどの行動が見られます。
症状が悪化していれば、問題行動の中でも異常行動として認められる可能性があります。
分離不安について知りたい方は、こちらの記事もチェックしてみてくださいね。
- 過剰な恐怖心
ペットごとに恐怖の対象は異なります。
雷や花火など大きな音に恐怖を抱いたり、杖や車を過剰に怖がったりなどです。
「杖の何が怖いの?」と思う方もいるでしょうか。
虐待を受けていた犬や猫の中には、棒のようなもので叩かれていた経験がある子もいます。
その場合、杖などの形状のものを見るとトラウマが引き起こされて恐怖を感じてしまうのです。
保護犬や保護猫の里親さんは意識しておきたい点でしょう。
- 同じ行動を繰り返す
同じ行動を繰り返すのは、「常同障害」と呼ばれる症状です。
犬の場合:しっぽを追いかけて回る・足を舐める・歩きまわるなど
猫の場合:しっぽを追いかけて回る・頻繁なグルーミングなど
ペットの問題行動は何が原因なの?
ペットの問題行動にはさまざまな種類がありますが、何が原因となっているのでしょうか。
問題行動の原因は大きく分けて2つです。
「生まれつきのもの」と「経験から身につけたもの」に分類されます。
前者には、遺伝的なものやホルモン作用などによるものが考えられます。
後者は、経験不足やトラウマなどが原因です。
犬や猫の大切な経験は「社会化期」と呼ばれる時期に形成されます。
社会化期は親や人間、子犬同士、子猫同士ふれあう経験を学ぶ上で大切な期間です。
社会化は幼い頃に済ませておくものなので、成犬や成猫になってからでは行動を治すのが難しいとされています。
逆に言えば、ペットが子犬や子猫の時期でしたら、しつけ次第で改善できる可能性がありますよ。
保護犬や保護猫として引き取った場合は、過去のトラウマが問題行動の原因となっているケースも珍しくありません。
この場合、精神的な病気になっている可能性もあるでしょう。
そのため、異常行動が見られる場合は病院で診てもらうことをおすすめします。
また、ペットの問題行動は、ペットばかりの問題だけではないケースもあります。
ペットが責められがちですが、飼い主側にも問題があるかもしれないのです。
- 適度な広さの部屋を確保できていない
- 室温の整った環境を用意できていない
- 運動不足の原因を作っている
- 頻繁に引っ越しをしている
これらは、飼い主さんが注意すべき点です。
ペットがストレスを感じる原因を作り出していないか、確認してみましょう。
ペットの問題行動に対策方法はある?適切なしつけとは
ペットの問題行動の原因が分かったら、その対策をしたいですよね。
問題行動の予防や対処は、幼いころの方が改善しやすいです。
愛犬や愛猫が幼い場合は、予防として対策しておくとよいでしょう。
問題行動の対策やしつけについて、目指す目標はこの2つです。
- ペットと飼い主さんの信頼関係を築く
- 社会性を身につけさせる
ペットに「飼い主さんや家は安心できる場所」と認識してもらうことで、ストレスを減らせます。
飼い主さんが信頼できる相手でなければ、犬や猫はリラックスできる環境に身を置けません。
この状態が続くとストレスがたまりますし、警戒心からくる問題行動もおさまりません。
まずはゆっくりと、信頼関係を築くことを心がけましょう。
また、社会性を身につけさせることで、他者への無駄吠えが減ったり、ドッグランで犬同士の上手な付き合い方ができたりしますよ。
家の中と外、両方の問題行動が減るように目指したいゴールがこの2つです。
そして、ゴールを目指すための具体的な対策方法は、この2つを意識するとよいでしょう。
- 甘えを出した中途半端な対応はしない
- 体罰は与えない
可愛がるだけが愛情だけではありません。
また、一方的な愛だけでは信頼関係は築けません。
しつけで厳しく接することも、飼い主の大切な役目です。
注意の仕方は、低い声でピシッと叱るのがポイントです。
この際、手や足をあげるのはNG行為。
目標は信頼関係を築くことですから、体罰で怯えさせては根本的な解決につながりません。
なにより、体罰は虐待と捉えられてもおかしくない行為です。
近年は動物愛護法も厳しくなっており、ペットへの暴力的行為に対する罰則が強化されています。
動物愛護法に関する記事は、こちらをご覧ください。
問題行動の種類ごとに対策方法を考えてみる
前提を踏まえて、問題行動の例をあげて対策を考えてみましょう。
- 粗相をする
トイレ以外の場所に排泄されて困っている飼い主さんは、トイレ環境を見直すことからはじめてみましょう。
先ほどもお話しましたが、問題行動にはペットだけでなく飼い主さんに問題があるケースもあります。
粗相の場合、トイレの場所や種類、大きさなどがペットに合っているかを確認してみましょう。
また、環境だけでなく、コミュニケーション不足な場合もあります。
トイレトレーを置いただけで、愛犬や愛猫に伝わっていると思っているケースです。
「ここだよ!」と指さしても伝わらない場合、抱っこをしてトイレまで連れていく、トイレで排泄できたらおやつをあげて褒めるなど、根気強いトレーニングが必要です。
- 無駄吠え
無駄吠えの対策は、原因をつきとめるとスムーズにいきます。
家の外を通る人にすぐ吠えてしまう場合は、家の中でもリラックスできていない証拠です。
犬はもともと縄張りを守ろうとする番犬的な意識が高いです。
しかし、過剰に吠えているなら警戒心が高まっているといえますから、リラックスできる環境をつくってあげましょう。
対策には、カーテンを閉める、リラックスを覚えさせる音を習慣的に流すなどが考えられます。
また、電話中や食事中の無駄吠えは、「かまってほしい!」要求からきていると考えられます。
この場合は、叱るのは逆効果です。
話しかけられると「反応してもらえた!」と思い、今後も繰り返し吠えるようになるでしょう。
いつも欲求通りかまってあげるのではなく、たまには空気のような存在として接することも、ペットとの適切な距離を保つ上で大切です。
まとめ
ペットの問題行動は、ペット自身の問題だけでなく、飼い主さんにも改善余地があるかもしれません。
まずはその行動が本当に問題なのかを考え、原因がどこからきているのか探してみましょう。
問題行動の対策には、飼い主さんとの信頼関係や、幼い頃の社会化不足が大部分を占めています。
愛犬や愛猫としっかり向き合って改善を目指してくださいね。