猫の殺処分数は犬の約4倍!猫の殺処分問題について考える

犬や猫の殺処分が社会問題になりはじめてしばらくが経ちました。

全体の殺処分数に着目されがちですが、内訳を考えたことはありますか?

今回は、猫に焦点を当てて殺処分問題を考えてみました。

猫を飼っている方はもちろん、猫を飼っていない方も読んでみてくださいね!

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犬・猫の殺処分数の現状

 

平成30年度の殺処分数は、犬7,687匹、猫30,757匹の合計38,444匹となっています。

全体の殺処分数は年々減ってきていますが、犬・猫別に比較すると、不思議な点が見えてきます。

それは、猫の殺処分数が犬より多いこと。

平成26年度では3倍以上、平成27年度以降は4倍以上となっています。

そしてもうひとつ着目したい現状が内訳です。

殺処分される犬や猫の内訳は、状態によって3つに分類されています。

 

分類①:治癒の見込みがない病気や攻撃性があるなどして、譲渡に向かないと判断された動物の殺処分

分類②:ペットとして家庭で暮らせる動物の殺処分

分類③:引き取り後に死亡した動物

 

猫30,757匹の内訳は分類①が11,477匹、分類②は12,682匹、分類③は6,598匹です。

分類②にあたる「まだペットとして過ごせたはずの猫たち」が多く殺処分されているのがわかります。

 

参考サイト:環境省 犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況

 

なぜ猫の殺処分数が多いの?

 

では、なぜ猫の殺処分数が犬より多いのか。

その理由についてまとめてみました。

 

<猫は自由に放し飼いさせてもよいとの認識>

 

ひとつは、飼い主側の意識の問題です。

猫は、ねずみを狩る役割として外で放し飼いにする文化がありました。

現代でもその流れを継ぎ、猫は自由にさせてかまわないと考えられている風潮があります。

今でも家の庭と外を行き来してのんびりと過ごしている猫を見かけますが、猫の外飼いにはデメリットが多いことをご存知ですか?

外で放し飼いにするデメリットはこちらです。

 

  • 交通事故に遭う確率が高くなる

平成30年度、ケガなどにより保健所に保護された猫のうち、殺処分されたのは7,673匹になります。

負傷した犬の殺処分数は294匹なので、やはり猫がとても多いことがわかるでしょう。

ケガにより保護された猫の半分以上である4,267匹は、引き取り後に命を絶っています。

この中には、元気であれば飼い主に返せたかもしれない猫も含まれていることでしょう。

ケガがひどすぎて譲渡できないと判断された3,087匹の猫も殺処分されています。

このように、ケガを負った猫は、保健所に引き取られた段階でほとんどが殺処分されてしまう現実があります。

猫がケガをする原因は、他の猫との争いや、幼齢であればカラスに襲われるなど。

また、交通事故によるものも原因とされています。

放し飼いにすることで、このような身の危険と隣り合わせになってしまいます。

 

  • 感染症などの病気をもらう可能性がある

放し飼いで注意したいのは、事故などのケガだけではありません。

病気にかかる危険もありますよ。

ノミやダニをはじめとした寄生虫感染や、他の猫との接触によるウイルス感染…。

また、少しの傷から感染症を発症することもあるんです。

外で放し飼いをしていると、このような病気に感染する確率も高くなります。

 

  • 住民トラブルになる

放し飼いをしていると、猫が近隣住民の敷地へ勝手に入りこむこともあります。

「可愛いからこれくらいは大丈夫」と心優しい住民であっても、敷地内でイタズラや排泄をされたらどう思うでしょうか?

地域住民との仲も悪くなりますし、場合によってはトラブルに発展することもあるでしょう。

猫を放し飼いにしていると、他人に迷惑をかけるリスクがあがります。

 

これらのデメリットを考えると「猫を外で放し飼いにするのはやめた方がいいかも」と意識が変わってきますよね。

<繁殖力が高い>

猫の殺処分数が減らない理由のもうひとつは、猫の繁殖にあります。

猫は1回の出産で4~8匹の子猫を産みます。

それも、年に1回だけでなく4回ほどまで出産が可能です。

理論上では、1組の猫から1年後に20匹以上、2年後に80匹以上、3年後には2,000匹以上に増える可能性があるといわれています。

そのため、飼い主のいない子猫があふれて保健所に引き取られていると考えられます。

実際、保健所の引き取り数は、犬は成犬が多いのに対し、猫は子猫の割合が高いのです。

平成30年度の引き取り数を比較すると、このようになります。

成犬:28,931匹

子犬:6,604匹

成猫:18,859匹

子猫:37,545匹

生まれてすぐの命が殺処分されていると思うと、悲しくなってきますよね。

猫の殺処分数を減らすにはどうしたらいい?

猫の殺処分数を減らすにはどうしたらいい?

 

「猫」の殺処分が多い現状を知ってもらえましたか?

またその理由として、放し飼いの意識や繁殖力の高さをご紹介しました。

猫の殺処分を減らせたら、犬・猫全体の殺処分数も一気に減ります。

最後に、猫の殺処分を減らすために私たちにはなにができるのか考えてみましょう。

 

<猫を飼う前によく考える>

猫を飼う際は、最期までお世話をできるか考えること。

これは猫に限った話ではありません。

ペットを飼う際は、よく考えてから迎え入れてあげてください。

犬や猫を飼えなくなる理由は、人間側にあることがほとんどです。

「子どもがアレルギーになったから」

「引っ越し先がペット不可だから」

このような理由でペットの飼育を放棄すると、ペットの命がかわいそうです。

この先数年を見据えて、最期まで幸せな環境でお世話できると考えられたらペットを飼うべきだといえます。

 

<猫を室内で飼う>

先ほど、猫を外で放し飼いにするから猫の殺処分数が増えると説明しました。

つまり、猫を室内で飼えばその数を減らせます。

「中で飼ったら運動不足やストレスは大丈夫なの?」とお考えの方もいると思います。

そこで、猫を室内で飼うメリットをざっくりまとめてみました。

 

  • ケガや感染症などの病気を防げる
  • 交通事故から身を守れる
  • ご近所トラブルを回避できる

 

犬と異なり、猫は単独行動の動物です。

そのため、極度に寂しさを感じることなく室内でお留守番ができます。

また、猫は薄暗い時間から活発に動くため、昼間はのんびり寝ていることも多いのです。

室内でもあまり騒ぐことなく、待てができるといわれていますよ。

室内飼いだと運動不足を心配する方もいますが、今は種類豊富なキャットタワーもあるため、あまり心配しなくても大丈夫でしょう。

多頭飼いにより運動不足を解消することもできます。

 

<不妊手術を行う>

高い繁殖力で子猫が保健所に送られる現状。

これを食い止めるためには、猫の不妊手術がよいとされています。

自分のペットの猫に不妊手術をすれば、望まない妊娠・出産を避けられます。

もし、たくさんの子猫たちを飼う余裕がないのに猫が出産してしまったら里親を探さなくてはなりません。

ひどい飼い主であれば子猫を段ボールに入れて放棄したり、多頭飼育崩壊を起こス可能性もあります。

保健所の前に捨てるなどももってのほか。

これでは、頑張って生まれてきた命がかわいそうです。

不幸な命を増やさないためにも、猫に不妊手術をするのは常識となりつつあります。

自治体や病院、団体によっては手術の費用を補助してくれることもあります。

 

<マイクロチップを装着させる>

マイクロチップの装着も、猫の殺処分を減らすためにできることのひとつです。

迷子になった際に、飼い主の元へきちんと送り返すことができたら、殺処分されずに済みますよね。

2020年の動物愛護法改正により、マイクロチップの装着の義務化がはじまる動きです。

こちらの記事もチェックしてみてくださいね。

 

 

<無計画にエサをあたえない>

道で野良猫を見つけた際、可愛いからと食べ物をあげていませんか?

じつは、安易にエサを与えることは、猫の殺処分問題と関連して望ましくないといわれています。

猫にエサをあげることについては、この記事で触れています。

ぜひ一読ください。

 

 

飼い猫に不妊手術をさせることも、子猫の殺処分を減らすための一歩といえるでしょう

まとめ

 

犬に比べて猫の殺処分は約4倍です。

私たちの意識を変えていけば、猫の殺処分を減らせるかもしれない現実があります。

ペットの飼い方や野良猫への対応など、気をつけたいこと、認知を広めたいことがたくさんあるのです。

飼い猫に不妊手術をさせることも、子猫の殺処分を減らすための一歩といえるでしょう。

 

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