ペットのマイクロチップ装着は義務化された?装着のメリット

今回は、ペットを飼っている方なら知っておきたいマイクロチップのお話です。

動物愛護法の改正によりニュースで話題となったため、気になっている方もいるのではないでしょうか?

「自分のペットにマイクロチップを装着させるのは義務なの?」

「マイクロチップの効果ってなに?」

「問題点はないの?」

このような疑問を解決できるような記事にしてみたので、ぜひ最後までご覧ください。

ペットのマイクロチップ装着は義務化された?装着のメリット

ペットのマイクロチップとは?義務化になるってほんと?

 

<マイクロチップとは?>

マイクロチップは個体を識別するもので、もともと工業用として使われていたものが家畜動物などにも使われるようになった歴史があります。

1980年代の後半、アメリカで小型動物用のマイクロチップが開発されると、保護施設などでも積極的に使われるようになりました。

大きさは、直径2mm、全長11~13mmほどの小型のチップです。

一円玉の大きさが2mmですので、それよりも小さいサイズなのが見てわかります。

性能の特徴は、個体を識別できること。

主に体内に埋め込んで使用されるため、迷子札のようになくなるケースはほとんどありません。

そのため、ペットにマイクロチップを装着することで、迷子や事故、災害などに遭った場合に飼い主のもとへ届けられる効果が期待されています。

 

<マイクロチップはどこに装着する?痛みは?>

犬や猫の場合、マイクロチップを埋め込む場所は首の後ろで、真ん中よりやや左側になります。

埋め込むといっても手術する必要はなく注射のようなもので注入します。

体にあまり負担をかけることもなくサッと終わるので、飼い主としても安心ですよね。

「体内に埋め込むって痛くないの?」と思った方もいるのではないでしょうか。

環境省は、マイクロチップ装着の痛みについてこのように言及しています。

”通常の皮下注射に比べるとやや針が太い印象であるが、一瞬で埋込みできるため、動物に明らかに苦痛を与えるようなことはない。またマイクロチップの表面材質は生体適合ガラスを使用しているため、埋込みによる副作用はほとんど報告されていない。”

つまり、装着時に少し痛みを伴うが、埋め込んだ後の副作用などは心配しすぎなくても大丈夫そうだといえます。

 

引用:環境省「マイクロチップによる動物の個体識別の概要」平成17年3月

 

 

<マイクロチップの装着は義務?>

「ペットにマイクロチップを装着するって考えたことなかったけど、義務なの?」

と疑問がある方もいると思うので、少しだけ法律のお話をはさみますね。

過去の記事で、動物愛護法の改正についてお話しています。

こちらでも少し触れているのですが、マイクロチップの装着が義務付けられる法律は2022年までに施行される予定です。

義務化の対象者となるのは、ブリーダーやペットショップなどの動物取扱業者です。

一般の飼い主は「努力義務」となっています。

そのため、現在飼っているペットに無理してマイクロチップを装着しなくても、罰せられることはありません。

ペットにマイクロチップの装着をするメリットとは

ペットにマイクロチップの装着をするメリットとは?

 

先ほど、マイクロチップの装着で期待できる効果について少しお話しました。

ペットにマイクロチップを装着するメリットを、詳しくみていきましょう。

 

<迷子になったとき飼い主のもとへ届けられる>

1つ目のメリットはこちら。

マイクロチップはペットが迷子になったときに役立ちます。

位置情報がわかるGPSの機能はついていませんが、ペットが発見された際に、飼い主は誰なのか特定できるためです。

また、迷子札や首輪などと異なり紛失や汚れの心配がなく、周りの環境に左右されない点は優れものですよ。

迷子だけでなく、そのあと事故にでも遭ったらもっと心配になりますよね。

事故に遭遇したペットが飼い主に返還される割合は少なく、平成30年度の資料によると、負傷動物の引き取り数は犬860匹、そのうち返還数が286匹。

猫の引き取り数は11,184匹、そのうち返還数は449匹だったといいます。

ペットの存在に気づいても、飼い主を特定できなければ届けることもできません。

 

参考サイト:環境省「負傷動物等の収容及び処分の状況」平成30年度

 

<災害時に役立つ>

災害大国である日本では、とくにメリットを感じる点がこちら。

災害時に、飼い主とはぐれてしまうペットがたくさんいるのをご存知ですか?

東日本大震災では、迷子札をつけていなかった犬が飼い主と再会できた確率は0.5%で、猫は0%だったといいます。

迷子札をつけていても、緊急事態なら外部からの損傷を受けることがあります。

また、迷子札の内容がかすれて読めなかったり、似ている札が多くてきちんと識別できなかったりといったケースもあるでしょう。

マイクロチップだと、環境に左右されないばかりか、それぞれの識別番号に独自性が保証されているため、飼い主を特定できます。

震災のあと、飼い主が見つからずに保健所に連れていかれた犬や猫もいるといいます。

悲しい事態を防ぐためにも、マイクロチップは装着の意義がありますよ。

 

<ペット遺棄の抑制効果がある>

動物愛護法にも記載されているように、飼っているペットを遺棄するのは罰則の対象になります。

これまでは、罰則があるといっても、ペットの識別ができないために遺棄した飼い主を見つけるのが困難でした。

しかし、マイクロチップの装着が義務化されると、遺棄した場合は飼い主を特定できます。

飼い主に対して罰則の適用ができますし、なにより遺棄の抑制にも効果が期待されています。

 

これらを総合して考えると、マイクロチップを装着するメリットの全体像がみえてきます。

それは、迷子や災害時に遭難したペット、捨てられたペットなどが保健所に引き取られることが少なくなると予想されること。

平成30年度における犬と猫の引き取り件数は91,939匹。

そのうち、殺処分された命は38,444匹にもおよびます。

ペットが迷子や事故に遭っても飼い主に無事返還されれば…。

責任のなさからペットを捨てる心が抑制されたら…。

この数は減少します。

ペットにマイクロチップを装着するひとりひとりの行いが、「殺処分減少」という大きな社会問題の解決に繋がるかもしれないのです。

 

参考サイト:環境省HP

 

マイクロチップの装着は費用がかかる?助成金もチェック!

 

マイクロチップ装着の大切さをお伝えしましたが気になるのはその費用ですよね。

マイクロチップの装着にかかる費用は、数千円~一万円といわれています。

相場としては4,000円ほどです。

動物病院によって異なるので、お近くの病院に確認してみることをおすすめします。

また、注射で装着するだけではマイクロチップとしての機能を果たせません。

埋め込んだマイクロチップの番号や飼い主の連絡先などのデータを登録します。

その登録費用で約1,000円かかります。

「思ったより費用がかかる…」と落胆するのはまだ早いです!

自治体や動物病院によっては、助成金があります。

たとえば名古屋市では、狂犬病の予防接種が済んでいる市内在住の飼い主に向けて、マイクロチップ装着の補助券を交付しています。

名古屋市指定の獣医師に補助券を提出すると、数千円の助成金がもらえる仕組みです。

令和2年では、4月1日から先着順で券を交付しています。

お住まいの自治体や近くの動物病院をチェックしてみてくださいね!

 

参考サイト:名古屋市HP

マイクロチップの問題点

マイクロチップの問題点

 

これまでマイクロチップの魅力を伝えてきましたが、問題点があるかどうかは気になるところですよね。

現時点で声が挙げられている問題点としてはこのようなもの。

 

  • マイクロチップをしていない犬や猫は即処分の対象となってしまうのでは?
  • 悪徳ブリーダーなら無理やり抜き出して遺棄してしまうのでは?
  • 体の外からはマイクロチップが装着されているか見えないため盗難の防止にはならないのでは?
  • 迷子のペットを保護した人がチップを読み取る機械(リーダー)を持っていない場合は?

 

たしかにどれも穴をついたような問題点ばかりですよね。

これから義務化が進んでいく中で、野良猫や地域猫と呼ばれる猫たちが処分されやすくなってしまっては、義務化にした意味がなくなります。

そして、マイクロチップは体への負担が少ないといわれているのに、せっかく装着したチップを無理やり抜き出すとなると、負担はすごいものです。

これなら、最初から装着義務などない方がよいのではとも考えてしまいます。

海外では積極的に広がっているマイクロチップの装着ですが、日本ではまだ珍しい分、不安や懸念も残っているのが現状です。

 

まとめ

 

今回は、マイクロチップについてご紹介しました。

2020年の動物愛護法改正でよく耳にするようになったペットへのマイクロチップ装着。

ペットにとってメリットがたくさんある反面、私たち人間側が考えなければならない問題点もいくつかありそうですね。

自分のペットに装着するのは努力義務なので、強制ではありません。

今後愛犬や愛猫に装着するか迷っている方は、家族でよく話し合って決断するとよいでしょう。

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