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まちを歩いていると、野良猫に出会うことは珍しくないですよね。
住宅街の塀を歩いている野良猫や、木陰で昼寝をしている野良猫。
のんびりとした姿に癒やされる方も多いのではないでしょうか?
今回はその野良猫についてお話します。
見かけた野良猫にエサを与えるのは問題があると考えたことはありますか?
猫たちの命を救うために、どんな行動をとればいいのか一緒に考えてみましょう。
野良猫にエサを与えるのは悪いこと?
近くを通りかかると、お腹を空かせた野良猫が足にすり寄ってくることがありますよね。
か弱そうに泣いているのを見て、エサをあげたくなる気持ちは、人間のやさしい心の証です。
しかし、野良猫に安易にエサを与えることが問題になっているのをご存知ですか?
問題点は大きく分けて2つ。
ひとつは、望まれない悲しい命が増えること。
もうひとつは、住民トラブルです。
<悲しい命が増える>
猫は、一度に平均5匹の子どもを出産します。
妊娠期間は約2ヶ月で、サイクルも早いです。
そのため、1匹のメス猫から1年で20匹以上の子猫が産まれるといわれています。
産まれた子猫たちも、成長したら出産しますから、猫の繁殖力はすごいですよね。
命が誕生するのは一般的に祝福されるものですが、野良猫の場合はどうでしょうか。
野生化した野良猫たちが幸せに生きていけるほど、路上での生活は甘くありません。
毎日食べるものに困っていて、エサにありつけず餓死してしまう猫。
カラスに傷を負わされて負傷する子猫。
車にひかれて命を絶つ猫など。
室内で飼われているペットの猫と違って、外で生きる野良猫たちはこういった危険と隣り合わせなのです。
こうした状況にある猫たちは、果たして幸せなのでしょうか?
野良猫にエサを与えて繁殖を促すことで、悲しい命の連鎖をつくっているともいえるのです。
<住民トラブルになる>
広く日本では、猫はペットとして親しまれています。
しかし、人間に害を及ぼす野良猫は「害虫」に分類される場合もあります。
庭の畑をめちゃくちゃにしたり、ゴミ置き場を荒らしたり、家の敷地内でトイレをしたり…。
このような迷惑行為をする猫は害虫のくくりにされてしまいます。
実際、野良猫の存在に悩んでいる地域の方もいるのです。
猫好きな人にとっては、まちで見かける野良猫を可愛いと思いますが、苦手な人からすると迷惑なのです。
ましてや、家や周辺環境を荒らされるとなると気分がいいものではありません。
地域によっては「野良猫にエサをあげないでください」といった注意書きをしていたり、エサやりに罰則を科していたりします。
野良猫に自分の家を汚されたとある住民は、エサをあげていた方に非があるとして、裁判を起こしました。
野良猫にエサをあげ続けていたことが、裁判にまで発展したケースもあるんです。
無責任にエサを与えてしまうと、対人トラブルになる可能性も否定できません。
対人問題に発展する理由として考えられるのは、「お世話ができていなかった」こと。
責任をもって野良猫の身の回りのお世話ができていないことで住民トラブルにまで発展することもあるのです。
野良猫にエサを与える際に気をつけたいこと
問題があると分かっていても、見て見ぬふりできない心優しい方もいますよね。
そんな方は、ぜひ注意点を守ってエサをあげましょう。
先ほどお話したように、エサを与えること自体が問題なのではなく、エサをやるだけしか面倒見ないことが問題になるのです。
ご近所さんの理解が得られるように、野良猫のエサやりについてルールを決めることが大切ですよ。
・気まぐれにエサをあげない
見かけたときだけエサを与えるのはNG行為です。
猫は決まった時間にエサを与えると、その時間になるとまたエサを貰えると認識します。。
エサを置きっぱなしにするのではなく、決まった時間に用意しましょう。
水もそのときに、新鮮なものに入れ替えましょう。
また、エサは地面に置かず、お皿に入れてあげてくださいね。
食べ終わった後の片付けも責任をもって行いましょう。
・掃除
住民トラブルになる原因のひとつが、周辺の生活環境の悪化です。
「近くの公園が野良猫のフンで汚れていて、安心して子どもを遊ばせられない」
「いつのものかわからないエサが道端に放置され、虫がたかっている」
このような環境になっては、地域住民から苦情が寄せられてしまいます。
そのためエサを与えるだけでなく、掃除をするのも大切です。
エサの後片付けはもちろん、野良猫がいる周辺環境の清掃もすると、地域住民から理解を得られやすいでしょう。
・トイレ
住民トラブルの原因2つ目がトイレ問題です。
「自分の家の庭で野良猫がトイレをして困っている」
家の近くに野良猫がいると、このような悩みを抱える住民もいます。
排泄は生理現象なので避けられない問題です。
エサをあげている野良猫用にトイレを準備し、そこで排泄するようしつけを行いましょう。
そして、トイレはこまめに手入れをし、きれいな状態にしておきます。
トイレの設置場所は、公共の場ではいけません。
自分の家の敷地内か、許可をもらった場所に設置してくださいね。
・公共の場ではエサをあげない
トイレの設置場所だけでなくエサを与える場所も注意が必要です。
猫はエサをもらった場所を記憶します。
公共の場所だと他の住民の迷惑になる可能性があるため、自分の敷地内か、所有者の許可が得られた場所でエサを与えるようにしましょう。
・住民との人付き合い
野良猫に関する対人トラブルを避けるためには、やはり住民の理解を得ることが大切です。
地域の美化清掃に参加したり、頻繁にあいさつなどの声かけをしたりして、よい人付き合いを心がけましょう。
さまざまな自治体が、野良猫へのエサやりルールをHPに記載しています。
気になる方は、自分の住む自治体で野良猫のエサやりに関するルールが定められていないか確認してみてくださいね。
野良猫の命を守るにはエサだけじゃだめ!去勢手術も考える
ここまで野良猫のエサやり問題についてお話してきました。
ルールを決めて責任をもってエサやりをすると、住民問題などは防げることがわかりましたね。
しかし、野良猫の繁殖問題は防げません。
野良猫はエサをもらうと元気になり、その猫が子どもを産みます。
すると、その子猫たちまでお世話をしなくてはいけません。
飼い猫ではない場合、そこまで面倒をみれるでしょうか?
これもまた野良猫問題です。
エサやりを始めていく中で、慣れてきたら去勢手術も考えてみましょう。
※自治体によっては、エサを与える前に必ず去勢手術をしなければならない場合もあります。
野良猫の不妊・去勢手術を支援する団体や愛護協会もあります。
そのため、手術にかかる費用を無料でできるケースもあるんです。
野良猫の命を思うのであれば、エサやりだけでなく、不妊・去勢手術も検討してください。
野良猫の多くは、もともと人間に飼われていた猫やその子どもたちです。
私たち人間が飼育放棄しなければ、野良猫が増えることはありません。
野良猫の存在が悪いわけではありませんが、毎日生きていくのも必死になるくらいの生活を猫たちは望んでいるのか?ということです。
ペットとして幸せに暮らした方が、猫にとって健康的にも精神的にも幸せかもしれません。
これは私たち人間が勝手に決めるべきことではないですが、動物福祉の観点からすると野良猫の生活は決してよいものとはいえません。
野良猫は栄養不足だけでなく、車に引かれたりカラスに狙われたりして命を落とすこともあります。
平成30年度、負傷して保健所に収容された猫は全国で11,184匹。
そのうち、返還・譲渡されたのは3,289匹です。
残りの猫たちは、収容後すぐに死亡したり、殺処分されたりしています。
参考:環境省「負傷動物等の収容及び処分の状況 平成30年度」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/r01_3_4_3b.pdf
猫たちをこのような状況から救うために、私たちにできることは何か。
それは「野良猫に無責任にエサをあげないこと」「不妊・去勢手術をしてあげること」だと考えられます。
まとめ
中途半端なやさしさが、野良猫問題を発展させているかもしれません。
見かけた野良猫にエサをあげたいと思ったら、その猫の健康面や周りの環境も支援できるか考えましょう。
野良猫を本当にサポートしてあげたいと思ったら、エサやりだけでなく去勢手術まで検討してみてくださいね。
去勢手術をしてあげることで、将来産まれてくる子猫たちが殺処分される可能性を減らせます。
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