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お店や交通機関で補助犬マークを見かけることはありませんか?
「マークは見かけるけど、補助犬は見たことがないのでよくわからない」
「補助犬マークって盲導犬のことを示しているの?」
このように思った方もいるでしょう。
今回は、補助犬についてご紹介します!
詳しくはよく分からない方、障がいへの理解を深めたい方にぜひ読んでいただきたい記事となっております。
ぜひ最後までお読みください。
補助犬の種類について
まずは、補助犬の種類から。
補助犬は、盲導犬、介助犬、聴導犬のことです。
それぞれ特徴をみていきましょう。
<盲導犬>
盲導犬は、目の不自由な方が安心・安全に歩けるようサポートします。
盲導犬の仕事内容はこちら。
- 道に沿ってまっすぐ同じスピードで歩く
- 指示された方向や目的物まで案内する(左右の分かれ道も指示された方向へ進みます。また、イスや郵便ポストなどの目的物の指示も聞き分けて案内します)
- 曲がり角や段差で止まる
- 障害物をよける
盲導犬のユーザーさんは、盲導犬の動きや、視覚以外の感覚から周りの状況を読みとります。
そして、目的地までの地図を思い浮かべながら、盲導犬に指示を出して歩きます。
「盲導犬は信号の色も教えてくれるんでしょ?」
という認識は、じつは間違いです。
信号の判断は、ユーザーさん自身がおこないます。
音の出る信号機のメロディーや、人や車の雰囲気を感じとって総合的に判断しています。
盲導犬は目の代わりをしているわけではなく、あくまで、歩行の補助をしているということですね。
<介助犬>
介助犬は、手や足などが不自由な方の生活をサポートします。
介助犬の仕事内容はこちら。
- 落ちた物を拾う
- 指示された物を持ってくる
(目の前にある物以外にも、離れた部屋にある鍵や、冷蔵庫の中の飲み物を持ってくることもできます)
緊急連絡手段の確保
(ユーザーさんが倒れて起き上がれないといった不測の事態に、携帯電話を持ってきたり、緊急ボタンを押したりします。人を呼んでくることもできます)
- ドアの開閉
- 着替えの補助をする
- 段差やスロープで車いすを引っ張る
- 起立・歩行介助
- スイッチ操作
<聴導犬>
聴導犬は、耳の不自由な方が安心して快適に暮らせるサポートをします。
耳からくる必要な情報を、タッチや動きでユーザーさんに知らせます。
聴導犬はこのような音を知らせることができます。
- 携帯の着信音
- ドアのノック
- 玄関のチャイム
- 目覚まし時計の音
- 赤ちゃんの泣き声
- キッチンタイマー
- やかんの音
- 警報機
- 自転車の音
離れた場所で音がした場合、それをユーザーさんに知らせ、音が鳴った場所まで誘導することもできます。
家の外では、窓口や順番待ちで呼ばれたことがわかるよう、鈴を鳴らしてもらいます。
聴導犬はその音に反応して、呼ばれたことをユーザーさんに知らせることができます。
このように、仕事内容は暮らしのサポートが多いといえるでしょう。
しかし、それだけでなく、警報機や、後ろからくる自転車の音など、非常時や危険信号も知らせてくれます。
そのため、耳が聞こえない不安を、少しでも減らして生活を送ることができます。
また、聴導犬を連れていることで、周りのサポートを受けやすくなる効果も期待できます。
耳が不自由な障がいは「見えない障がい」といわれており、見た目からは理解されにくいもの。
しかし、聴導犬と一緒にいることで、それが目印となります。
音を知らせる以外の役割も果たしているんですね。
助けてもらうばかりでなく、ユーザーさんは可能な限り自分で補助犬のお世話をします。
ユーザーさんにとって補助犬は、何かをしてくれる存在ではなく、互いに支え合いながら生活しているよきパートナーなのです。
補助犬って全国にどのくらいいるの?
厚生労働省が公表したデータによると、2019年10月1日現在
盲導犬928頭
介助犬61頭
聴導犬67頭
合計して、全国で1056頭の補助犬が活躍しています。
【https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000576044.pdf】
いかがでしょうか。
少ないと思いましたか?
盲導犬は、47都道府県それぞれに2頭以上いますから、妥当な数字だと思った方もいるかもしれません。
たしかに、すべての身体障がい者が補助犬を必要としているわけではありません。
しかし、補助犬の利用を希望している方は約1万名いると推測されているので、補助犬の数は不足していると考えてよいでしょう。
実際に見かける機会も少ないので、補助犬に対する理解は、まだまだ深まっていないとも考えられますね。
補助犬の受け入れ拒否問題
補助犬は、身体障がい者にとって、からだの一部でありペットではありません。
補助犬を連れて外食を楽しんだり、病院へ行ったり、交通機関を利用しておでかけすることは法的に認められています。
(身体障害者補助犬法、身体障害者差別禁止法など)
そのために、法律は
- しっかり訓練されていること
- 補助犬の体を清潔に保つこと
- 公衆衛生上の危害を生じさせないよう予防接種および検診をすること
これらを、補助犬やユーザーさんに義務づけています。
補助犬は、社会マナーを守っておとなしく行動できるだけでなく、定期的な予防接種やブラッシング、爪切りで体を清潔にしています。
しかし、実際は、レストランや病院などで補助犬の同伴を断られる事例があるのをご存知ですか?
飲食店での事例をご紹介します。
<座敷に案内することはできないからと入店を断られた>
和食のお店だと、畳で食事をとることもありますよね。
そのようなお店で、犬の爪が畳を傷つけるとのイメージから、断られるケースがありました。
しかし、補助犬は普段から家の中で暮らしていますし、先に述べたように爪のお手入れもしています。
座敷など土足が禁止されている場所では、ユーザーさんが犬の足を拭いて対応します。
また、補助犬は準備された敷物のうえで座って待機することも可能。
お店側の心配は、知識不足からくるものだといえるでしょう。
<犬嫌いなお客さまがいるかもしれないからと断られた>
たしかに、犬嫌いな先客が店内にいたら、入れなくても仕方ないかも…。
このように思った方はいますか?
実はこれも知識不足からくるものです。
もう一度いいますが、補助犬はペットではありません。
身体障害者補助犬法で、「著しい損害が発生する恐れがある」「やむを得ない理由がある」場合を除いて、補助犬の受け入れは義務として定められています。
好き嫌いで判断してはいけないということですね。
このような場合、お店側は、お客様に犬嫌いな方やアレルギーを持っている方がいないか確認し、その旨をユーザーさんに伝えたうえで、代替案を考える姿勢が大切です。
受け入れができないかもしれない理由をきちんと説明したうえで、どういう配慮が可能なのか、どのようなことならできるかなど、お互いに話し合うこと。
実際に補助犬を受け入れてみて、「こんなにお利口さんなんだ」と気づいた店員さんもいます。
補助犬の対応が初めてだとしても、「知らない」と突っぱねてはいけませんね。
ユーザーさんと真摯に向き合う姿勢が、障がい者への差別をなくすことにつながるでしょう。
事例については、以下のサイトを参考にさせていただきました。
他にも載っていますので、興味のある方はぜひご覧ください。
【https://www.moudouken.net/special/case-study/】
街で補助犬を見かけたら
補助犬を見かけたら、どんなことに注意すればいいのでしょうか。
こちらでまとめてみました。
- エサや飲み物をあげない
ユーザーさんは、エサや水を与えた時間や量もとに、犬のトイレや健康管理をおこなっています。
また、仕事中の誘惑になり、事故を招く危険性があります。
同様の理由で
- 補助犬をじっと見つめたり声をかけたりしない
- 勝手にさわらない
この2点も注意しましょう。
私たちにできることは、ユーザーさんに対する声かけです。
盲導犬を連れている方の場合、地図が頭に入っていないと、思うように歩けません。
困っているようであれば「お手伝いできることはありませんか」と、やさしく声をかけましょう。
また、先ほど述べたように、信号機の判断もユーザーさん自身がしていますので、「青になりましたよ」と伝えることも配慮のひとつです。
施設で入店を断られているのを見つけた際は
「補助犬の同伴を拒否することは、法律で禁止されていますよ」
と、助言できれば、もっとステキですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事を読んで、少しでも補助犬についての学びがあれば幸いです。
補助犬に限らず、警察犬やセラピードッグをはじめ、社会で活躍しているわんちゃんはたくさんいます!
そして、その犬たちに助けられて生活している人たちもたくさんいます。
当たり前に動物と暮らせる社会の実現をめざして。
これからも発信をつづけていきます。