コロナによる新しい生活様式に不安を感じている障がい者がいます

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新型コロナウイルスが世界中に広まり、感染予防として、人々の行動は規制されていました。

現在、外出自粛の制限は全面的に解除されましたが、感染を防止する努力は継続中。

  • 密を避けて人との距離を保つ「ソーシャルディスタンス」
  • オンライン会議を利用したテレワーク
  • デリバリーの食事

このような新しい生活様式がうまれています。

 

障がい者のなかには、こうした新しい生活に不安を感じている方がいるのをご存知ですか?

今回は、その不安や悩みをご紹介します。

私たちにできる配慮はどのようなものか。

一緒に考えてみましょう!

 

コロナ対策の生活に不安を抱く方たち

 

新型コロナウイルスのワクチンはまだ完成していません。

現状、感染しないために個人で予防する必要があります。

外出時はマスクを着用し、身体的距離を確保。

また、除菌グッズを持ち歩き、まめに手を洗うようになった方も多いと思います。

 

オンラインやデリバリーのサービスを活用する暮らしに適応し、

「新しい生活様式も悪くないかも」

と感じた方もいるでしょう。

 

一方で、このような生活に不安や不便を感じている方がいるのをご存知ですか?

 

一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティが行った調査結果によると、視覚・聴覚障がい者の6割以上が「生活や外出面に不便がある」と答えています。

また、半数以上の方が「人との人とのコミュニケーションにおいて、不安や心配を感じる」と回答しています。

 

それぞれ、具体的にまとめてみました。

参考サイト:https://djs.dialogue.or.jp/news/20200506/

 

視覚障がいをもつ方の不安や悩み

 

新しい生活様式がうまれるなか、視覚障がい者からは、このような声があがっています。

 

「歩行のガイドを頼みづらい」

「ひとりで歩くことはもちろん、動画を見て運動することも難しく、運動不足になっている」

「ソーシャルディスタンスの感覚がよくわからない」

「買い物の際は商品を手に取って確認しているが、戻すと嫌がられる」

「公共機関の利用を控えるよういわれているが、自分で運転することはできない。徒歩圏内では生活が厳しい」

 

視覚障がいを持つ方は、ヘルパーさんなどによる歩行の補助が必要です。

しかし、同行支援は密になるため、ヘルパーさんからも断られているのが現状。

買い物に関しても、ネット注文が普及していますが、音声案内がしっかりしているサイトでなければ利用は難しいでしょう。

「触って見る」という文化のある視覚障がい者にとって、接触を奪われると生活が厳しくなります。

就労面では、オンライン面接や会議に不便を感じているとの声もあがっています。

 

実施されている対策・考えられる対策

 

この非常事態に、国は対策をたてました。

それがこちら。

 

”問14……ヘルパーが単独で買い物の代行や薬の受け取りの代行等を行うことを報酬の対象とできるか。

(答)……新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の必要性に鑑み、民間の宅配サービスや買い物代行等他の手段では代替できない場合は、報酬の対象とすることも可能である。 ”

 

引用:厚生労働省 令和2年4月28日「新型コロナウイルス感染症に係る障害福祉サービス等事業所の人員基準等 の臨時的な取扱いについて(第5報)」 

【https://www.mhlw.go.jp/content/000626605.pdf】

買い物に不便を感じているという悩みに応え、ヘルパーさんが代理で買い物に行くことを認めました。

国から全国の自治体へ向けた発信です。

知らない方が身近にいたら、ぜひ伝えてあげください。

 

考えられる対策としては

 

  • 文章の読み上げ機能を充実させる
  • スーパーや駅で積極的に音声案内をする
  • 重要な速報をWebサイトだけにあげない
  • (テレビやラジオなど耳からもいち早く入るよう工夫する)

などが挙げられます。

 

聴覚障がいをもつ方の不安や悩み

 

聴覚障がいをお持ちの方からの不安の声はこちら。

 

「マスクをしていて聞き取りにくい」

「マスク姿だと、口元を読み取れずコミュニケーションがとりづらい」

「筆談時に、自分のペンを渡すのをためらう」

「手話通訳を頼みたいが、通訳者を呼ぶと感染のリスクが高まるので怖い」

「地域のコロナ関係の相談所や病院は、電話対応が中心なので困る」

 

聴覚障がいには程度の差がありますが、「マスク」がコミュニケーションの壁になっていることは共通しています。

 

手話は、手の動きだけで伝わるものではありません。

表情も大切な役割を果たしています。

マスクで顔が隠れると、そのコミュニケーションに不便が出てきます。

悩みは手話だけではありません。

相談所や病院への連絡は電話対応が中心だということ。

たしかに、自治体のWebサイトで、保健所や病院について知ることはできます。

しかし、連絡を取る方法として電話番号のみが記載されていることも少なくありません。

お問い合わせフォームがあっても、細かいことは対応してもらえず「詳しくは電話でお願いします」と返信されることもあるのだとか。

これでは、新しい生活様式に不安を感じてしまうのも納得です。

 

実施されている対策・考えられる対策

 

このような聴覚障がい者の悩みに、対応しようとの動きがあるのでご紹介します。

 

  • 透明マスク

 

飛沫を防ぐマスクの役割を果たしつつ、口元が見える透明マスク。

通常のマスク着用で感じていた不便さを、取り除けるとして注目されています。

現在、企業や法人、各自治体や団体などで開発が進んでいます。

透明マスクの取り組みは全国各地で広がり、手話通訳者が知事の会見時に着用するなどして活躍中。

 

兵庫県伊丹市の自治体では、手作り透明マスクの作り方を公開しています。

http://www.city.itami.lg.jp/SOSIKI/KENKOFUKUSHI/SYOGAIF/news/1587538507170.html

 

他にもさまざまな自治体で作り方を公表しています。

ぜひ、チェックしてみてください。

 

手作り透明マスクは、衛生面やマスクの効果の減少が懸念されます。

これからの課題は、医療用として商品化されることといえそうですね。

 

  • 遠隔手話サービス

コロナ騒動以前より、遠隔手話サービスの事業は存在します。

しかし、サービスは広く導入されておらず、緊急時に利用するには体制が不十分となっています。

そこで、厚生労働省は「遠隔手話サービス等を利用した聴覚障害者の意思疎通支援体制の強化」を実施すると公表しました。

【https://www.mhlw.go.jp/content/000628659.pdf】

 

今回のコロナのような非常時にも活用できるよう、体制を整備することが目的です。

具体的には、遠隔手話サービスの初度経費、広報経費などを都道府県に支援するとしています。

 

他に考えられる対策としては

 

  • オンライン会議の字幕や手話の普及
  • 音声を文字化できるアプリの開発・促進
  • 保健所や病院などの受け付け方法を増やす
  • (電話以外にメールやSNSも使用するなど)

 

などが挙げられるでしょう。

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私たちにできること

 

ここまで話してきて

「このように、困っている方と出会ったらどうすればいいの?」

と疑問を持った方もいらっしゃるのではないでしょうか?

小さなことでも、力になれたら嬉しいですよね。

大切なことは「不快な態度を表さない」ことだと思います。

障がいを持つ方は「迷惑をかけていないかな」と、不安な気持ちでいっぱいです。

そんななか、優しい声色や笑顔がわかると、安心できます。

心では「迷惑じゃないですよ」と思っていても、それが伝わらなければ相手は不安のまま。

コミュニケーションを取る際は、優しい気持ちを表現しましょう。

 

それに加えて…。

 

視覚障がい者には

「指示語を使わず、具体的な言葉で説明する」

「お店の張り紙だけではフィジカルディスタンスをつかめないので、声で伝える」

といった工夫をしましょう。

 

また、聴覚障がい者には

「はっきり話す」

「手話ができなくても、ジェスチャーを交える」

「アイコンタクトを意識する」

といった対応ができるとよいでしょう。

 

まとめ

 

現在、コロナウイルスによる自粛要請が解除されても、第二波が心配されています。

ピリピリとした空気が続ていますが、ひとりひとりが思いやりをもった行動で乗り切りたいと考えています。

非常時だからこそ、見直せることがあるはず。

社会の変革期にある今、配慮の必要性や、多様なコミュニケーションの取り方を一緒に探してみませんか。

障がいを持つ方も、そうでない方も、みんなが暮らしやすい社会へ発展することを願っています。

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