障害者差別解消法ってどんな法律?

平成28年4月に施行された 障害者差別解消法。正式には 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 と言います。この法律は行政機関や民間の企業や事業者に対して定められた法律で、一般人にはあまり聞きなれない言葉かもしれません。

ですが、「自分には全く関係ない」と言いきることはできません。今回は簡単に 障害者差別解消法 について解説したいと思います!

 

キーワードは「共生社会」

突然ですが、「共生社会」という言葉を知っていますか?

20歳の弟に聞いてみたらサラッと「知らない」と言われました(笑)。

私自身も言葉自体は聞いたことがあったのですが意味は曖昧でよく知りませんでした。

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「共生社会」とは、障がいのあるなしにかかわらず、すべての人がお互いを尊重し合い、支え合い、それぞれが生き生きとした人生を送ることができる社会を意味しています。

内閣府の平成29年度世論調査によると、「共生社会」の周知度は「知っている」が46.6%、「言葉だけは聞いたことがある」が19.6%、「知らない」が33.7%でした。

 

では、今私たちが暮らしている社会は「共生社会」と言えるのでしょうか。

同調査で世の中には、障がいのある人に対して「障がいを理由とする差別や偏見があると思うか」という質問に対して「あると思う」と答えた人の割合は83.9%でした。

こうしてみると、現状はまだまだ障がい者の方への理解が足りていないことがわかります。

障害者差別解消法 は、誰もが心地よく過ごせる「共生社会」を目指すための法律なんです!

 

具体的にどんな法律なの?

障害者差別解消法 という字からなんとなく「障がい者に対する差別をなくす法律なのかな」という予想はできると思いますが、具体的にどんなことを定めた法律なのでしょうか。

この法律は行政機関や民間の企業や事業者に対して、主に2つのことを求めています。1つは「不当な差別的取扱い」の禁止。もう1つは「合理的配慮の提供」です。

何を言ってるのかわからなくても大丈夫です!それぞれ例を挙げながら解説していきます!

 

1.「不当な差別的取扱い」の禁止

これは文字通り、障がいのある人に対して、正当な理由なく、障がいを理由として差別することを禁止します。

例えば、障がいがあるという理由でスポーツクラブに入会させなかったり、マンションやアパートを貸さなかったり、入店を断ったり、学校の受験や入学を拒否することを禁止します。

 

2.「合理的配慮の提供」

こちらは障害のある方などから何らかの配慮を求める意思の表明があった場合には、負担になり過ぎない範囲内で、社会的障壁を取り除くために必要で合理的な配慮をすること(企業や事業者の場合は、対応に務めること)が求められるというものです。

例えば、車いす利用者のために段差にスロープを渡す、高い所に陳列された商品を取って渡す。筆談、読み上げ、手話などによるコミュニケーション、わかりやすい表現を使って説明する。また、障がいがある従業員に対し、障がいの特性に応じた休憩時間の調整などのルールの柔軟な変更をする。

 

つまり、障がい者の方が助けを求めてきた場合は企業・事業者として、できる範囲でその障壁を取り除くためのサポートをしましょう。ということです!

 

障害者差別解消法の課題

平成28年に 障害者差別解消法 が施行されてから様々な地方公共団体が条例や相談機関を設置しましたが、その中で課題がともなっていることも事実です。

平成29年度の内閣国内調査によると大きく3つ、課題として挙げられています。

 

課題1.生活相談と差別相談の関係

例えば、以下ような事例があったとします。

「障がい者がある物件の賃貸契約を申し込んだところ、障がい者であることを理由に断られたという相談が持ち込まれた。

相談を受け付けた相談機関は、住居の確保が最優先課題と考え、障がい者に理解のある家主を紹介して住居を確保し、問題は解決した。しかし、その背景には障がい者差別がある。」

この例は 差別相談 として分類することができます。

 

一方、障がい者差別の背景なく「少し嫌な思いをした」レベルの 生活相談 も存在します。

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寄せられる相談には幅広く応対していきたいと考えていても、相談機関には人員的にも時間的にも限りはあります。

生活相談 差別相談 が混在するような事案をどのように扱えばよいか、論点の整理をする必要がありそうです。

 

課題2.ガイドラインの充実

1つ目の課題と重複する部分がありますが、これはガイドラインの充実を求める声です。

「相談を受け付けた担当者によって差別と判断する感覚の違いがある」という問題です。

この問題に対しては国がガイドラインを整えて、事例集だけではなく、考慮要素をきちんと示したものを作ってほしい。との声が挙げられています。

 

課題3.国、都道府県、市町村の関係

現状だと地方公共団体が個別に、差別に関する相談・事案解決のための体制整備をしています。

それによって、都道府県をまたがるような事案や県と市町村の関係性が自治体によって異なる場合に柔軟な対応ができないとの声が挙げられています。

どのように、国、都道府県、市町村が重層的な相談支援体制を整備するのか、検討する機会が必要です。

最後に

課題を3つ取り上げましたが、その他にも「法律がなかなか浸透していない」という課題もあります。

障害者差別解消法 とはすべての人がお互いを尊重し合い、支え合い、それぞれが生き生きとした人生を送ることができる「共生社会」を目指す法律です。

それにともなう課題をどのように解決していくかは、障がい者や関係者だけの問題ではなく「共生社会」の一員である私たちにも課されている問題なのではないでしょうか。

私たちにも生きづらさや悩みはあります。そういった障壁を取り除くということはすべての人にとって生きやすい社会の実現につながると思います!

 

この記事を読んで少しでも興味を持っていただけましたら、あなたが暮らしている地域は障がい者に対してどのような体制をとっているのか調べてみたり、自分にできることは何があるのか考えてみていただけると幸いです!

 

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