障がい者支援における精神疾患への理解と患者の家さがし

419万3千人。この数値は何にまつわるものかご存じですか?

これは、厚生労働省が発表した平成29年度において精神疾患を患っている人の数になります。

 

同年の人口は10月1日付で1億2670万6千人なので、日本の約30人に1人が精神疾患の患者である、という計算になるのです。

参照:https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/data.html

参照:https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2017np/index.html

精神疾患とは?

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では、そもそも精神疾患とはどのような病気でしょうか。

厚生労働省は、精神疾患(精神障害)の特性とその代表例について

  1. 総合失調症
  2. 気分障害
  3. てんかん
  4. 依存症
  5. 高次脳機能障害

の5つを挙げています。

 

1. 総合失調症

幻覚や妄想にとらわれるようになる病。話の論点が分からなくなったり、意欲の低下や苦手意識の拡大なども立ち現れることがある。

約100人に1人の割合で発症するといわれている。

 

2. 気分障害

気分の波が激しくなる病。うつ病や双極性障害がその代表である。

 

3. てんかん

一時的な脳の興奮により、発作が起こる病。脳を過剰に興奮させる原因も発作のタイプも多様である。

 

4. 依存症

酒、ギャンブル等を対象に、生活に支障が出るほど依存していること。当人や場合によってはその家族も病識がないこともある。

 

5. 高次脳機能障害

事故や病気が原因で脳にダメージを受け、言動や行動に支障が出る障害。

 

このような精神疾患は、私たちにとって「身近なものではない」と言い切ることはできません。統計的にみても、日本国内の精神疾患有病者の割合は上昇傾向にあります。

精神疾患の発症要因は、人間関係やライフスタイルの変化など人それぞれであり、思いもよらないところにその要因が潜んでいるかもしれません。

 

自分自身の心の声に向き合いながら、精神疾患の患者さんに寄り添いながら、障害の有無に関係なく共存していくことが一層求められています。

参照:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jigyounushi/e-learning/seishin/characteristic.html

 

精神疾患があるとお部屋さがしが難しいって本当?

精神疾患は誰にでも起こりうる可能性があることに言及しましたが、これにともなう弊害が存在することにも注目していきましょう。

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あなたはこれまでに何度引越しをしましたか?回数に個人差はあれど、大多数の人は引越しの経験をしているでしょう。

 

では、精神障害を有していた場合、引越しにはどのように影響するのでしょうか。

 

実は精神障害の患者さんで入居を断られるケースは、いくつも存在するのです。

しかし、日本において、精神疾患を患っていることを理由に入居を断るのは,「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)で禁止されています。

障害者差別解消法は、

  •  「不当な差別的取扱い」の禁止
  •  「合理的配慮」の提供

を市民のみなさんに求める法律です。

この中でも、「障害者向けの物件はないと言って対応しない」行為は「不当な差別的取扱いの具体例」の一つに数えられています。

参照:https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/pdf/gouriteki_hairyo/print.pdf

 

障害者差別解消法は、以下のように提示しています。

(事業者における障害を理由とする差別の禁止)

 

第八条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。

 

2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。

 

引用:https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/law_h25-65.html

 

つまり、精神疾患を患っていることは、入居を拒否する理由として成立しないのです。

にもかかわらず、入居お断りの事例がなくならないのはなぜなのでしょうか?それは、不動産会社や物件を所有しているオーナーの考え方に基づいているのです。

 

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例えば、精神疾患の方が入居するとなると

 ・不動産会社にとって…

  行政へ赴くなど、通常の業務より+αの作業が増える

 ・オーナーにとって…

  自殺をされてしまうと事故物件となり、空室に繋がることへの懸念

  周りの入居者への迷惑行為が起こらないか心配

といったような不安点がどうしても挙がってきてしまいます。

ただ、これは精神疾患の方に限ったことではなく、他の障害を抱えている方、外国籍の方、高齢者の方に対しても、不動産会社あるいはオーナーが抱く懸念になります。

 

しかし、不動産会社やオーナーにとってうれしいこともあるのです。例えば、

 ・不動産会社にとって…

  利用者数がアップする

 ・オーナーにとって…

  国からの補助があれば、毎月安定して家賃を集めることができる

  空室を埋めることができる

このような点が挙げられます。

ですから、障害を患っているとしても、不動産会社にとってもオーナーにとっても、大切なお客様のひとりであることに変わりありません。

 

精神疾患の方のための家さがし

では、入居を断られてしまう機会を減らすために、どのようなことができるのでしょうか。

 

1. 保証をしっかりをする

  • 保証会社の利用
  • 連帯保証人や緊急連絡先をしっかり明記する
  • 病状や通院について真摯に話す

不動産会社やオーナーさんの信頼を得るためにも、上記の手段は有効であるといえます。

 

2. 障害者向けの物件を紹介してくれる不動産会社を利用する

近年では、障害のある方や高齢の方にも、ひろく物件を提供しようと励んでいる不動産会社が目立ちつつあります。このような会社を利用するのも一つの手です。

気になる方はぜひ検索をかけてみてください!

 

おわりに

家と人は切っても切り離せないものです。また、障害や加齢は、すべての人に関係しているものです。

家を求めている人たちが安心して住める社会を目指して、私たち一人一人ができることに取り組んでいきましょう!

 

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