空き家となにが違う?!特定空き家の件数とその推移

近年の少子高齢化や地方過疎化によって日本の社会問題として耳にする機会の増えた「空き家問題」。現在日本住宅の1/7を空き家が占めており、戸数にすると848万戸の住宅が空き家の状態です。

そんな空き家問題の対策として、平成26年11月に国は 空家等対策の推進に関する特別措置法 いわゆる「空家等対策特別措置法」を制定しました。その法案によって特定空家等(以下 特定空き家 )に指定された空き家の所有者は、自治体の指示や勧告に従い、所持している空き家に対して適切な処置が必要になりました

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みなさんは 空き家 と 特定空き家 の違いについて説明できますか?

今回は 特定空き家 について空き家との違いを交えながら紹介し、さらには特定空き家に指定されるとどうなるのか、特定空き家の件数とその推移についてお伝えします。

 

特定空き家とは

特定空き家 について説明する前に、空き家 の種類を紹介します。

空き家 は全部で四つの種類に分けられます。

  1. 賃貸空き家…賃貸に出されている入居者のいない物件。
  2. 売却用空き家…売りに出されている入居者のいない物件。
  3. 二次的住宅…いつも人が住んでいるわけではない物件。
  4. その他空き家…長く人が住んでいない取り壊し予定の物件。

 

空き家 の中でも、以下のいずれかの条件に当てはまるものが 特定空き家 です。

  • そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

つまり、周囲の環境に危険を与えたり悪影響を及ぼす可能性が非常に高く、早急な対応が必要なのが 特定空き家 です。

参考:空き家対策特別措置法(空き家特別措置法第2条第2項)より

 

特定空き家に指定されると

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特定空き家 に指定された物件は、各自治体が助言や指導があり、改善するよう促されます。自治体の勧告や命令に従わない場合、罰金や行政執行により解体費用を請求されてしまう可能性があります。

しかし、特定空き家 に指定されてすぐに処罰されたり、空き家が取り壊される訳ではありません。

自治体が空き家を調査してから、行政執行まで行う流れは以下の通りです。

  1. 空き家を調査
  2. 特定空き家を指定
  3. 助言・指導
  4. 勧告従わなければ、状況が改善されるまで固定資産税が優遇されず、従来の土地の税金の6倍を支払わなければなりません。
  5. 命令従わなければ、最大50万円の罰金が科される可能性があります。
  6. 行政執行・略式代執行…行政執行は所有者が特定できている場合に執行されますが、略式代執行は所有者が不明な場合に執行されます。例をあげるなら、所有者である法人が解散したケースや、所有者が死去したケースがあります。

特定空き家 として指定された後は、助言や指導に従わなければ勧告、さらに従わなければ命令、そして最終的に行政執行が下されます。このように、特定空き家に指定されたからといってすぐに処罰されるわけではありません。

しかし、特定空き家に指定されたということは、その空き家には重大な危険性があり、周りの環境に悪影響を及ぼしている、もしくは悪影響を与えかねないということを忘れてはいけません。

万が一持ち家が特定空き家に指定された時は、一刻も早く対処しましょう。

 

特定空き家の件数と推移

実際に特定空き家として助言・指導から行政執行まで行われてた件数をグラフにしてみました。

区分 平成 27 年度 平成28 年度 平成29 年度   平成30年度(~10月1日)
自治体数  措置件数 自治体数 措置件数 自治体数  措置件数  自治体数 措置件数 
助言・指導 167 2,890 221  3,515 278 4,271 250 2,408
勧告 25 57 74  210 91 285 54 156
命令 3 4 17 19 30 47 9 18
行政代執行 1 1 10 10 12 12 5 6
略式代執行 8 8 23 27 33 40 14 14

※国土交通省・総務省調査:空き家対策に関する実態調査結果報告書より

 

助言・指導された特定空き家は平成27年度から平成29年度の3年間で1万件を超え、その数は年々増加傾向でした。その他、勧告、命令、行政代執行・略式代執行の件数ともに年々増加傾向にありました。

しかし、平成30年の10月1日の時点ではありますが、前年比では助言・指導された件数は1863件の減少(43%減)、勧告された件数は129件の減少(45%減)、命令された29件の減少(61%減)、行政代執行・略式代執行合計では32件の減少(61%減)となっていることがわかり、その数は減少しています。

 

最後に

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現在全国の住宅の1/7を占めている空き家。中でも周囲に悪影響を与える可能性の高い 特定空き家 は、行政の努力により減少し解決に向かっているのは事実です。

しかし、人口減少や地方過疎化によって空き家は今後も増え、一説には2030年には2150万戸、日本の住宅の1/3が空き家になると言われています。今後空き家自体の母数が増えるのであれば、今は健全な空き家でも 特定空き家 に指定される可能性の高い潜在的な空き家も急増していくことでしょう。空家等対策特別措置法特定空き家 を指定し危険な空き家を対策する必要はもちろんありますが、空き家自体の数を減らしていかなければ焼け石に水です。

ですから、もっと空き家をうまく活用したり、空き家を発生させないような施策を行うなど、抜本的な対策や工夫が今後は必要になっていくことでしょう。

 

参考:空き家バンクとは?空き家を生かす活用術

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