あなたも一度は目にする。ヘルプマークの意味とは?

ヘルプマーク

(参照:東京都福祉保健局)

 

最近、電車や町中でよく見かけるこのマーク。あなたはこのマークの意味を知っていますか?

これはヘルプマークと呼ばれる、見た目ではわからない障がいを持った方や、援助を必要とする方々の「助けて」を表すマークです。まだ見かけたことのない方も、今後目にすることがあると思います。

この記事ではヘルプマークの意味をお伝えするとともに、実際にどのような行動をとればいいかをご紹介します。

 

ヘルプマークの対象者は?

ヘルプマークは援助や配慮を必要としているすべての方が使用の対象となります。義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、妊娠初期の方など、見た目では援助を必要としているか判断できない人たちです。

 

日本の障がい者数は990万人となっており、うち900万人が軽度から中度の障がいを抱えています。軽度から中度の障がいもさまざまで、脳の機能障害による発達障害(自閉症やアスペルガー症候群)や精神疾患による精神障害(総合失調症やてんかん)など、見た目では判断できない障害が数多く存在します。このような障害は見た目で判断できず、ある程度のことは一人でこなせるため、誤解されることも多く、いじめの対象になってしまう方もいます。そうした方々が周囲に援助や配慮を必要としていることを知らせることで、周りの人が理解し援助ができるように作成したのがヘルプマークなのです。

(参考文献:東京都福祉保健局「ヘルプマーク」)

 

私たちにできることは?

その場に適した思いやりのある行動をとってください。

 

電車やバスなどの公共交通機関の場合

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電車やバスでは席を譲りましょう。

つり革につかまれない方や、長時間立っていることが困難な方がいます。ヘルプマークを付けた方みずから「席を譲ってください」と言うのは難しいので、勇気を持って自分から声をかけてみましょう。

そのほかにも、お体が不自由な方の乗り降りの際に補助をしてあげるなどの配慮が必要です。

また、混雑時は携帯電話の使用を控えましょう。内部障害の方などの、医療機器に影響を及ぼしてしまうことがあります。そのような場面でヘルプークを付けた方が苦しそうにしていたら、周りの人にも知らせてあげるようにお願いいたします。

 

町中や駅の場合

困っている様子なら声をかけましょう。

行き先がわからず道に迷っていたり、階段の昇り降りが困難な方もいます。聞きたいことがあっても誰に聞いたらいいか分からないこともあるので、積極的に声をかけてあげてください。話すときはゆっくりと、優しい口調で、相手のペースに合わせて話をしましょう。

 

飲食店の場合

相手に合わせて落ち着いた応対をしましょう。

注文を上手く理解できない方や、注文を待つことが難しい方もいます。また、それに対しせかしたりしてしまうと、パニックになってしまう方もいます。注文を聞くときや商品の説明をするときは分かりやすくゆっくりと、そして注文がくるまでどれぐらいかかるかを、事前に伝えるなどの行動をとってください。

 

コンビニやスーパーの場合

肯定的な言葉で話しかけましょう。

店内を走ったり、大声を出してしまう方もいます。このようなときは「やめてください」など否定的な言葉ではなく、「終わります」や「○○します」など肯定的で短いことばで伝えでください。否定的な言葉でパニックになってしまう方もいます。優しく話しかけてあげましょう。

ほしい商品が取れなくて困っている場合は、一声かけて代わりに取りましょう。気が付いたら手助けをすることが大切です。

 

災害時の場合

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安全に避難できるように援助をしましょう。

災害時の状況判断がうまくできない方や、自力での避難が困難な方もいます。他の人にも支援をお願いしたりと、その場の状況に適した行動をとるようにしてください。

また、避難所など大勢の人がいる場所が苦手な方もいます。パニックにならないよう、1人にさせないなど落ち着ける環境を作ってあげましょう。

(参考文献:名古屋市「障害のある人を理解し、配慮のある接し方をするためのガイドブック」)

 

何をすればいいか分からない場合

ヘルプカードに貼ってあるシールを確認しましょう。

どんな援助が必要かを伝えることができない方もいます。シールにはその人がどんな援助をしてほしいか、どんな障がいをもっているか、普段通っている病院などの情報が書いてあります。必ず確認しましょう。

(参照:佐賀県健康福祉部障害福祉課)

 

ヘルプマークの課題とは?

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課題1. 認知不足

2017年、障がい者379人を対象としたヘルプマークの認知度・利用状況調査によると、53%の人がヘルプマークを知らないという結果になりました。障がいを持っている方でも約半数の人が知らないということは、一般にはもっと知られていないのではないのでしょうか。ヘルプマークは2017年に正式な全国共通マークとなり、取り組みは広まりつつありますが、まだまだ認知度が低いと言えます。

 

課題2. 利用したい人が少ない

2017年度の調査によると、ヘルプマークを知らない人のうち今後利用したいと回答した人は49%、利用したくない人が51%と利用したい人の割合が少ないです。

その理由として次のようなものがあります。

  • 入手方法が分からない
  • 利用時の周囲の反応が気になる
  • 認知不足で役に立たないと思っている

この3つが主な理由です。

どの理由も認知不足によるものであることが分かります。

しかし、「利用時の周囲の反応が気になる」「認知不足により役に立たないと思っている」という理由は、私たち援助をする側が認知したうえで、しっかりと理解すれば無くすことができるのではないでしょうか。

 

実際にヘルプマークを身につけている方からは「優先席に座っていたら、冷たい目で見られた」「バスをゆっくり降りていたら、“若いのに遅いな”と言われた」などの声が上がっています。私たちの認知不足により、援助をしてもらえるはずのヘルプマークは、嫌な思いをする、というふうに感じている方もいるのです。

(参考文献:「株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所調べ」)

 

まとめ

ヘルプマークとは…

  • 見た目ではわからない障がいを持った方々を援助するためのもの
  • 付けている人を見かけたらその場に適した思いやりのある行動をとる
  • 普及させるには私たちの認知・理解が必要

 

ヘルプマークは広まりつつありますが、まだまだ課題も多く、使う人全員が快く思っていないというのが現状です。そのためにも、まずは私たち援助をする側がしっかりと認知・理解をすることが大切です。ヘルプマークを使っている人を見かけたら、思いやりのある行動を心がけ、「ヘルプマークを使ってよかった」と言ってもらえるような社会を作っていきましょう。

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