データで見る!地方と都市部の空き家問題の違い

近年、社会問題としてニュースなどで取り上げられることの多い「空き家問題」。

平成30年での調査によると全国の空き家の数は848万9000戸と言われており、その戸数は年々増え、2033年には2150万戸、全体の1/3が空き家になるとの予測があります。

特に地方などでは、人口の減少によって空き家が増えていることはわかりますが、東京などの都市部でも空き家が問題になっていることはご存じでしょうか?

今回は、都市部と地方の空き家問題の違いについてお伝えしたいと思いますが、まずはその前に、「空き家」とは何なのかを解説したいと思います。

そんなことわかっているよ、というかたは次の見出しは飛ばして「データでみる地方と都市部の空き家の違い」からお読みください。

 

全部で4つ!空き家の種類について

みなさんは「空き家」と聞いてどのような家が思い浮かびますでしょうか?

住んでいる人の気配のない雑草まみれの庭や土地に、黒ずんでボロボロの外壁・・・

そんな「空き家」が思い浮かぶことでしょう。

174ae9f36ad8ab5c0a0fad423d9452f0_l

そのような長く人が住んでいない取り壊し予定の住宅は、国が定める空き家の分類(全4種類)では「その他の住宅」(いわゆる「その他空き家」)に分類されます。

この「その他の住宅」は全国の空き家全体の約4割を占めます。

残りの約6割は以下の通りです。

まず、「賃貸空き家」(50.9%)です。こちらは名の通り、賃貸に出されている入居者のいない物件です。

二つ目は「売却用空き家」(3.5%)です。こちらも同じように、売りに出されている入居者のいない物件です。

三つ目は「二次的住宅」(4.5%)です。こちらは二次的な住宅、つまりいつも人が住んでいるわけではない物件のことです。例えば夜遅くまで残業したときに寝泊まりするための物件や、別荘などが含まれます。

以上を解説したところで、都市部と地方の空き家の違いをデータから紹介します。

※以後この記事内で「空き家」と記述した場合、主に「その他の住宅」を指します。

 

データでみる地方と都市部の空き家の違い

まず、総務統計庁のデータから住宅全体に占める空き家の割合の全国平均と人口増加を続ける三大都市圏(特別区部(東京23区)、大阪市、名古屋市)、2015年~2019年の間に人口減少率が高かった都道府県の上位3県(青森県、秋田県、高知県)をご覧ください。

 

【住宅全体に占める空き家の割合】

全国平均

全国平均 62,407,400戸
居住世帯あり 85.91%
一時現在者のみ 0.35%
二次的住宅 0.61%
賃貸用の住宅 6.93%
売却用の住宅  0.47%
その他の住宅 5.59%
建築中 0.14%

 

人口増加を続ける三大都市圏

特別区部(東京23区) 5,520,000戸
居住世帯あり 88.79%
一時現在者のみ 0.72%
二次的住宅 0.11%
賃貸用の住宅 7.38%
売却用の住宅  0.56%
その他の住宅 2.33%
建築中 0.11%

 

大阪市 1,675,900戸
居住世帯あり 82.32%
一時現在者のみ 0.55%
二次的住宅 0.19%
賃貸用の住宅 11.74%
売却用の住宅  0.62%
その他の住宅 4.52%
建築中 0.05%

 

名古屋市 1,234,600戸
居住世帯あり 86.67%
一時現在者のみ 0.42%
二次的住宅 0.16%
賃貸用の住宅 8.65%
売却用の住宅  0.45%
その他の住宅 3.45%
建築中 0.19%

人口減少が著しかった上位3県

青森県 592,400戸
居住世帯あり 84.66%
一時現在者のみ 0.29%
二次的住宅 0.37%
賃貸用の住宅 6.62%
売却用の住宅  0.24%
その他の住宅 7.73%
建築中 0.1%

 

秋田県 445,700戸
居住世帯あり 86.13%
一時現在者のみ 0.13%
二次的住宅 0.27%
賃貸用の住宅 4.4%
売却用の住宅  0.22%
その他の住宅 8.73%
建築中 0.11%

 

高知県 391,600戸
居住世帯あり 80.56%
一時現在者のみ 0.31%
二次的住宅 0.61%
賃貸用の住宅 5.42%
売却用の住宅  0.2%
その他の住宅 12.8%
建築中 0.1%

※引用:内閣府統計局住宅・土地統計調査 平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計データより

 

注目していただきたいのは「その他の住宅」の割合です。

都市圏では2~4%で全国平均の5.59%を下回っていますが、人口の減少の著しい上記三県では7~12%と平均を上回っています。

このデータの結果から、

 

人口減少

流出した人の分の物件が空く

空き家が増加

 

ということが考えられるでしょう。

それに加え、

 

人口減少

消費の低迷により物価の低下

新築物件が安価に建てられる

中古の空き家が活用されない

空き家が増加

 

ということも言えるのではないでしょうか。

 

地方だけじゃない!都市部にも空き家ができる理由

pixta_29479770_L

ではなぜ、人口が増えている都市でも空き家ができてしまうのでしょうか?

原因としてまず、日本の税制が考えられます。

どんな形であれ建物があれば土地にしてしまうよりも固定資産税が安く済むのです。

つまり、建て壊すにも多額のお金がかかりますし、土地にしても売れない、土地にして所持し続けても税金を多くとられてしまうので空き家のままにしているケースがあるのです。

 

次に手続きの問題です。

住んでいた人が亡くなって、その家や土地を相続する手続きがなされず空き家のまま放置されているケースがあります。

さらに、分譲マンションなどで所有者が複数人いる場合は、建て壊しに所有者全員の許可が必要です。

つまり、所有者の一人でも連絡がつかなければ、壊そうにも壊せないのです。そうしてその土地を活用しようとしても身動きがとれないで、そのまま空き家として放置されているケースもあります。

 

空き家の何が問題なのか?

いつ壁や天井が降ってくるかわからないようなくらいボロボロの建物だと別ですが、空き家があること自体は危険ではないのでは?と思う方も少なくはないでしょう。

しかし、空き家があることで、さまざまな問題を引き起こす原因にもなるのです。

1. 犯罪のリスク

誰も管理していない空き家であれば勝手に人が住んでしまうケースは少なくありません。

さらに、人が住んでいないことをいいことにゴミなどを不法投棄したり、放火したりの危険性もあるのです。

2. 景観の悪化

ボロボロの空き家が自分の住もうとしている土地の周りにたくさんあるとやはり住みたくないですよね。

空き家があることでその周辺の評価が落ちてしまうのです。

3. 機会損失

少し難しい書き方をしましたが、空き家のある状態だと、その土地を他に活用できないということです。

もし、空き家のある土地が使えたら、また新しい建物を建てることもできますし、畑を作ったり、太陽光パネルを設置したりすることもできます。

4. 建物自体の劣化

一見綺麗な状態の空き家でも人が住んでいない状態が続くと建物自体が劣化してしまいます。

理由としては、

  • 換気ができないために湿気がこもり、カビの温床になる。
  • ゴキブリやネズミが侵入し建物内で繫殖することで、壁や床が傷む。
  • 猫やタヌキが住み着き、ふんなどをまき散らす。
  • 扉や鍵などの金属部分にサビができる。

などがあります。

人が住まないことにより、建物が劣化し、天井や壁紙が剥がれ、しまいには、みなさんが思い浮かぶような空き家ができるのです。

 

まとめ

地方で人口減少によって空き家が増えてしまうケースもあれば、

地方でも都市部でも税制や相続の問題で空き家のままのケースもあるのです。

 

原因や程度の差はあれど、地方でも都市部でも空き家問題は深刻な社会問題です。

上記のとおり、空き家は多くのリスクをはらんでいます。

さまざまな要因から起こる空き家問題を、どうにか国や自治体が一刻も早く対処してくれることを願っています。

 

空き家バンクとは?空き家を生かす活用術。

外部リンク https://www.ielove.co.jp/column/contents/01120/

あなたも「いぬらぶ・ねこらぶ」の記事をかいてみませんか?
あなたも「いぬらぶ・ねこらぶ」の記事をかいてみませんか?