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空き家問題が深刻化することにともない、最近では賃貸物件として貸し出したり太陽光発電機を設置したりなど、さまざまな活用法が注目されています。
今回はそのなかでも、比較的費用を抑えながら始められる民泊についてご紹介します。
昨今、新型コロナウイルスの影響で観光やホテル業が大打撃を受けていますが、一軒家を貸し出す民泊の場合は、むしろビジネスが好調であるケースも存在します。
その大きな理由として、一軒家の場合はチェックインからすべてオンラインで誰とも接触することなく宿泊を楽しめるからです。
今後新型コロナウイルスの影響が落ち着けば、旅行消費が回復し、これまでよりも民泊の需要も高まるかもしれません。
「放置している空き家を活用したい」とお考えの方は、空き家で民泊を始める方法として、ぜひこの記事を参考にしてくださいね。
空き家を活用して民泊を始めるメリット・デメリットとは
まずは、民泊を始めるメリットとデメリットについて見てみましょう。
<民泊として空き家を活用するメリットとは>
- 収益を得られる
空き家を民泊として活用するメリットとして、収益を得られることが一番大きいのではないでしょうか?
不動産には固定資産税や都市計画税を納税しなければならず、所有するためにコストがかかります。
たとえ人が住んでいない空き家であってもこれらは納める義務があり、空き家を放置している限り払い続けなければなりません。
しかし、民泊として運営すれば宿泊者から宿泊料を徴収でき、空き家の立地や状態によっては高い収益も望めるでしょう。
- 初期費用を抑えられる
民泊は、一般的に不動産を取得することから始めます。
しかし既に空き家があるのであれば、修繕のための費用や設備費用など、比較的初期費用の負担を抑えながら始めることが可能です。
また、修繕やリフォームのみなので、民泊施設を一から建てるよりも開業するまでにあまり時間がかかりません。
「空き家を今すぐにでも活用したい!」という方には、向いているのではないでしょうか?
- 空き家の資産価値を高められる
不動産は通常、築年数が経っているほど資産価値が減少します。
しかし、放置していた空き家で民泊を開業してコンスタントに高い収益を得られれば、民泊施設としての付加価値が付きます。
そのため、将来的に売却することになっても実際の収益をベースとし、収益性が高い物件として売却することが可能です。
<民泊として空き家を活用するデメリットとは>
- 運営上のトラブルが発生する可能性がある
民泊を運営するとなると、多くの宿泊客と接することになります。
なかには、チェックインの時間を守らない、大騒ぎして近隣に迷惑をかける、ゴミの出し方を守らないといったお客さまもいます。
民泊を始めるなら、こういったトラブルにうまく対処しなければなりません。
- 営業日数の制限がある
民泊は住宅宿泊事業法に基づいて開業する場合、一年中営業できるものではありません。
一年を通して180日間という営業日数の制限があり、結果として採算が合わなくなる可能性が考えられます。
また、本来、ホテルや旅館などは閑散期と繁忙期があり、民泊を始めれば収益が必ず得られると考えるのは危険です。
営業がうまくいかなければ初期費用を回収することが難しく、負債を抱えてしまうケースもあるでしょう。
しかしながら経営上のリスクは、空き家を活用し賃貸物件として貸し出したり、カフェを始めたりする場合も同じことです。
空き家の条件を十分考慮して、最適な活用方法を選択することが重要になるでしょう。
空き家で民泊を始める方法
では、いよいよ民泊を始める方法や必要な設備について見ていきます。
<民泊に必要な設備>
空き家を民泊にする際には、設備要件を満たさなければなりません。
設備要件とは、「台所」「浴室」「便所」「洗面設備」があることで、宿泊施設として最低限の水回り設備はきちんと整備されている必要があります。
ただし、同じ敷地内にある設備を利用できれば、いくつかの住宅をまとめて申請することも可能です。
また、安全面に関しては、「消火器」「火災探知機」「誘導灯」などの設置が必要なので、もしそれらの設備がない場合はリフォーム時に設置する必要があるでしょう。
<民泊を始める手順>
民泊を開業するためには法律に従って手続きをしなければならず、住宅宿泊事業法、国家戦略特別区域法、旅館業法の3つのうちどれかに基づいて営むことになります。
営業許可を取得しなければならない旅館業法がもっとも取得する難易度が高く、次に国家戦略特別区域法となっており、住宅宿泊事業法がもっとも取得難易度の低いものとなっております。
そのため、住宅宿泊事業法の届出をおこなって民泊を始める方が多い傾向にあります。
そこで、ここでは住宅宿泊事業法に基づいて申請する方法についてご紹介いたします。
- 担当窓口に必要書類を提出する
届出や登記事項証明書、図面や消防法令適合通知書などを自治体の担当窓口に提出します。
先ほど民泊には設備要件があるとお伝えしましたが、自治体によってはさらに厳しい基準を設けていることもあるので、まずは不明な点などを問い合わせてみましょう。
- 民泊運営代行業者を選ぶ
民泊新法のガイドラインによると、トラブルが発生したときなど緊急の対応が必要になった際には、概ね30分以内に駆け付ける必要があります。
そのため、もし民泊に家主が住んでいなければ、民泊運営代行業者に管理業務を委託しなければなりません。
- 民泊の運営を開始する
手続きが完了したら、いよいよ民泊の運営を始めます。
まずは、快適に過ごせるように寝具や家具、アメニティを準備します。
さらに忘れてはいけないのは、Wi-Fiの設備や、英語・中国語などの多言語のハウスマニュアルやガイドブックです。
今後世界的な旅行の回復を見込んで、インバウンド需要に対応できるようにあらかじめ準備しておくと良いかもしれません。
空き家で民泊を始める際のポイント
最後に、空き家で民泊を始める際のポイントについてご紹介します。
<民泊に向いている空き家の特徴>
最初にお伝えしたとおり、空き家には民泊以外にも魅力的な活用方法があります。
そのため、最初に所有している空き家が本当に民泊に向いているのかを、考えることが重要です。
観光地にアクセスしやすい場所にあるか、宿泊施設の需要があるエリアかなどはとくに注意しなければならないポイントです。
インターネットでエリアを絞って検索すれば、宿泊施設の数や宿泊料の相場などが調べられるので、民泊に向いているかどうか検討できます。
また、「状態がきれいで清潔な施設に泊まりたい」と思うのは、宿泊者としては当然のことでしょう。
もし活用しようとしている空き家が古く、修繕費やリフォーム費用が大きな負担になる場合、売却してしまったほうが良いかもしれません。
<確定申告を忘れずに>
民泊で収益が発生したら、確定申告は忘れずにおこなうようにしましょう。
会社勤めなど給与所得がある方は、民泊による所得が20万円を超える場合、確定申告が必要になります。
しかし、この20万円の所得は経費を差し引いた金額を指すので注意してください。
もし民泊による所得が300万円だとしても、経費として290万かかっている場合は、所得が10万円となるので確定申告は不要になります。
確定申告の期間は2月16日から3月15日の間で、この期限内に済ませておかないと、延滞税などのペナルティが発生してしまいます。
まとめ
今回は空き家の活用方法として、始める手順やポイント、民泊を運営するメリット・デメリットなどをご紹介しました。
今後、旅行消費が回復すれば民泊の需要も上がると考えられるので、空き家を活用したい方は選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか?
そのほかにも、空き家を「ペット共生型障がい者グループホーム」として活用する方法もあります。
詳しくはこちらをご覧ください。