殺処分ゼロを目指して! 犬・猫の引取り及び処分の状況

年間に何頭の犬と猫が保健所に収容され、処分されているか知っていますか?

 

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昨年、日本では、38,444頭の超える犬と猫が殺処分されました。

 

時間に直すと、約10分に1匹が殺処分されている計算になります。

保健所に引き取られた数は91,939頭にもおよび、そのおよそ半数の42,041頭が譲渡されています。

しかし、現実として、譲渡数とほぼ同数の犬と猫が殺処分されています。

そのうち、子猫や子犬は21,926頭と、殺処分された数の大半を占めています。

こうした、保健所に引き取られるペットのほとんどは所有者が不明の状態で保健所に連れてこられます。

昨年引き取られた91,939頭のうち、77,759頭が所有者不明の状態で保健所に引き取られました。

およそ85%の犬と猫が飼い主がわからない状態で保健所に預けられていることになります。

そして、預けられた犬や猫の大半は、その命を終えることになります。

 

環境省が発表しているデータによると、こうした犬と猫の収容数や処分数は、年々減少傾向にあります。

特に犬の収容数、処分数は激減しており、理由として、行政による狂犬病対策として、野良犬を積極的に捕獲していた歴史から、野良犬が繁殖する母集団の減少が大きいとされています。

なので、保健所で処分されている犬と猫の内訳を見ると、犬が7,687頭に対し、猫は30,757頭処分されており、実に猫は犬の4倍以上の数が処分されていることになります。

皆さんも、野良犬を見た経験はなくても、野良猫はよく見かけるのではないでしょうか?

そうした、飼い主が不明の動物は保健所に引き取られ、譲渡先が見つからない場合は、その後処分されてしまいます。

 

(環境省 統計資料 犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況)

https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html

 

なぜ、保健所に収容されるのか?

 

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ではなぜ、こんなにもたくさんの数の犬と猫が保健所に収容されまた、処分されていくのでしょうか?

そもそも、保健所というものは、地域住民の健康や衛生を支える公的機関の一つであり、地域の住民にとって住みやすい環境を整えるために存在しています。

それは、過去にあったように、狂犬病撲滅のために犬を捕獲といった病気の予防から、野良による糞尿被害の抑制、および生活圏への侵入を防ぐといった衛生的な物も含まれます。

例えば、ペットとして飼っていた鳥が野良猫に襲われてしまったり、自宅の庭が野良の糞尿により汚されてしまうことを防ぐために、こうした野良を収容する事が保健所に求められています。

そのようにして、地域住民の健康や衛生、更には快適な生活を守るために、野良犬や野良猫が収容されていくのですが、そうした人間の都合だけでなく、実は野良犬、野良猫の保護という観点も存在します。

というのも、そもそも保健所に収容される犬や猫には、飼われているものの、迷子になったものや、逃げてしまった動物も存在しているからです。

そうした飼い主が不明な飼い犬の保護を担うのも保健所です。

また、飼い主不明の状態で保護される犬猫、つまり野良猫や野良犬の中には、まだ成熟しきっていない個体も存在します。

そうした子犬や子猫は、生まれた瞬間から常に様々な危険にさらされることになります。

自分の身を自分で守るすべを持たない子供は、特にカラスなどの動物に襲われるケースが多く、昨年、負傷した状態で、保健所に保護された猫の数は11,184頭にもおよびます。

こうした負傷から野良猫や野良犬を守るため、そして地域住民の衛生や健康を守るために、保健所は犬や猫を収容しています。

 

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どうすれば殺処分は減るのでしょうか?

 

保健所は、様々な理由により、犬や猫などの動物を収容する必要があります。

そのうち、所有者不明で引き取られてくる犬や猫のほとんどは野良犬や野良猫で、自然の中で繁殖してしまったケースが多いそうです。

また、犬のケースでは、狂犬病の予防のために、野良犬の捕獲を進めていった結果、今では野良犬が引き取られるよりも、飼い主の事情により保健所に連れてこられるケースが増えて来ているそうです。

 

こうした現状から、私たちができることは大きく2つあります。

 

一つは、飼われているペットについて、自分が命を預かる飼育者であるという自覚を持ち、できるだけ飼育を放棄しないようにする、飼育者のモラルの向上です。

実際に、やむを得ない事情で手放してしまうケースも存在しますが、中には子犬から成犬になり、大きくなったから、可愛くなったから、といった理由で手放してしまうケースも存在します。

そうした、人間のエゴで動物の命を軽々しく扱い、その命を奪っているという現実が存在します。

そうした人間のモラルを改善していくために、ペットを飼うときは、しっかり最後まで面倒を見る覚悟を持って飼うということが大事になります。

そうすることにより、保健所に収容される動物の数も減り、また同時に殺処分の数も減っていきます。

 

そして、2つ目の解決策として、野良猫や野良犬を、地域で面倒を見ていくというものです。

一部地域では、地域ネコとして定着しているこの対策ですが、主に、飼育責任者がわからない野良猫に対して、去勢手術など各種対応をしたのちに、そのまま地域の猫として飼うという対策方法です。

これにより、今まで野良猫として、地域で繁殖を繰り返し、母集団が大きくなったり、騒音などの被害があったものが、地域の猫としてそれぞれが少しずつ面倒を見ていくという形に切り替えていくことで、それらの問題を解決します。

去勢やワクチンの接種により、無差別な繁殖や、飼いネコとかかわった際に何か問題が起きるというケースを減らせます。

しかし、この方法の問題点として、やはり野外で猫が生活しているという事により、地域住民の衛生を保つことができない場合も存在します。

例えば、猫アレルギーを持っている人や、糞尿の処理によるトラブルが報告され、さらにはそうした猫が定着することにより野良猫が集まり、テリトリーが形成されるケースもあります。

そうした、生き物を飼う責任をシェアするという地域ネコという解決策は、地域住民とその猫の間によい関係が築かれていることが前提であり、また、手術をするなどの対応を適切に行わなければなりません。

しかし、地域ネコという考え方が殺処分を減らす可能性を持つことも事実です。

地域で面倒を見ることにより、保健所に引き取られ殺処分されてしまう猫を減らせます。

そして、去勢手術により、処分されてしまう猫が生まれてくる数を減らすだけでなく、地域で面倒を見ていくことによって、野良として引き取られるケースを減らしてくことがで野良猫と地域がうまく付き合っていける距離感を作り出せます。

 

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殺処分についての問題意識を持っていただきたい

 

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いかがだったでしょうか?

年々少なくなってきたとはいえ、いまだにたくさんの犬と猫が殺処分されています。

そうした人間により奪われる命に対して、まず始められることは、こうした現実があると認識するところだと思います。

今回、この記事を読んで、殺処分問題について少しでも問題意識を持っていただければ幸いです。

また、殺処分そのものを批判したり、手術やワクチンの接種に反対される方もいらっしゃいますが、こうした動物の殺処分は元をたどれば、人間が原因となっていて、さらには人間の生活環境を守るために命を奪っていることを覚えておいて欲しいと思います。

私たち人間が、安全に安心して暮らすために保健所が存在します。

私自身、2年前にエジプトに旅行に行き、目の血走った犬の群れに追いかけられた経験があり、大変怖い思いをしたことがあります。

日本では、長い時間をかけて、野良犬の捕獲や飼い犬のワクチン接種の義務可により、狂犬病は日常の脅威ではなくなりました。

しかし、その為に奪われた命があったこと、そして今でもたくさんの命が失われていることについて、そんな社会の一員として責任をもって、よりよい社会に向けてとり組んでいきましょう。

 

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