障がい者の法定雇用率とはなに?障がい者を雇用するときに大切なこと

今回は、障がい者の雇用に関する制度や、障がい者を雇用する際のポイントなどをお伝えします。

これから障がい者の雇用を進めようとしている企業は、ぜひ今回の記事を参考に、多様性のある会社づくりを目指していただければ幸いです。

障がい者の法定雇用率とは?

障がい者の法定雇用率とは?

障がい者の雇用は法律で義務付けられており、国は障がい者雇用促進法を定めることで、障がい者の雇用の安定を目指しています。

 

法定雇用率とは?

法定雇用率とは、雇用しなければならない障がい者の割合を示したもので、5年に1度は見直されることになっています。

対象となる障がいの種類は、身体障害と知的障害、精神障害の3つです。

法定雇用率を下回ると行政による指導がおこなわれ、改善されない場合は社名が公表されます。

その結果、企業のイメージに影響がでる他、障害者雇用納付金制度によって納付金を支払わなければならない場合もあります。

このような不利益があるので、法定雇用率は守ることが望ましいでしょう。

実雇用率の計算方法

実際に雇用し、働いている障がい者の割合を実雇用率と言い、この実雇用率が、法定雇用率より上回っていなければなりません。

実雇用率は、以下のように計算します。

実雇用率=常用雇用で働いている障がい者数(身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者)÷(常用雇用労働者+常用雇用短時間労働者×0.5)

常用雇用労働者とは雇用形態に関係なく、1週間の労働時間が30時間以上の労働者で、1年間継続して雇用されている労働者(見込みも含む)のことです。

また、常用雇用短時間労働者とは1週間の労働時間が20時間以上30時間未満の労働者のことで、1年間継続して雇用されている労働者(見込みも含む)を指します。

2021年からは2.3%へ

法定雇用率は1976年に義務化され、これまで段階的に引き上げられてきました。

2013年には2%台に乗り、2021年の3月1日からは0.1%引き上げられ、民間企業は2.3%になりました。

対象となる企業は、従業員が43.5人以上いる企業となり、常用雇用労働者は1人、常用雇用短時間労働者は0.5人としてカウントします。

障がい者雇用の良い点と問題点

障がい者雇用の良い点と問題点

障がい者雇用には、良い点と問題点があります。

一般雇用との違いを知って、障がい者雇用がもたらす利益を考えてみましょう。

 

障がい者雇用の良い点①業務の見直しに繋がる

障がい者を雇うときには、障がいに合せて業務環境を整える必要があります。

そのため、あらためて業務を見直すことで業務プロセスの効率化を図れたり、手動でおこなっていた作業を自動化したりなど、生産性の向上が期待できるでしょう。

また、近年、多様性が重要視され、組織や働く人にも多様性が求められるようになっています。

障がい者雇用が多様性を理解することや、障がい者のサポート体制を整えることで、それぞれが組織のなかでの役割を見直すきっかけにも繋がります。

これまで社内にいなかった人材が入ることで、管理能力が高まり、組織全体の機能の向上が見込めますよ。

障がい者雇用の良い点②雇用による企業評価の向上

障がい者雇用は社会の課題として考えられ、国が障がい者雇用促進法を制定するなど、日本全体が取り組んでいることでもあります。

そのため、障がい者雇用が社会的責任を果たせるとともに、障がい者雇用をしている優良企業として認定されます。

従業員300人以下の中小企業にかぎられますが厚生労働大臣によって認定されると、認定マークを使用できる他、厚生労働省のホームページに掲載され、社会的認知度を上げられます。

また、日本政策金融公庫の低金利融資対象となり、障がい者雇用に必要な資金に使用可能ですよ。

障がい者雇用の良い点③雇用による助成金を受け取れる

障がい者を雇用する際には、会社内のバリアフリー化や必要な設備の設置などが必要で、対応することが難しい企業もあるでしょう。

そこで、障がい者を雇用する際に、受けられる助成制度があります。

助成制度にはさまざまな種類があり、障がい者の賃金を一部保証する制度もあるので、雇用する際にはぜひとも活用していただきたい制度です。

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金は、条件により適用されるコースが異なりますが、障がい者を雇用する際に助成されます。

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金とは企業が障がい者を3ヶ月の間雇用できる制度で、双方の合意があれば、期間終了後に正社員としての雇用もできます。

企業にとっては障がい者の適性を見極められ、障がい者にとっては就労経験がなくても応募できるので、面接までのハードルが低いと言えるでしょう。

>>障がい者就労で耳にするトライアル雇用とチャレンジ雇用の違いとは?就労意欲のある方はチェック!

障害者雇用安定助成金

障がい者の特性に応じて、雇用形態を見直したり職場復帰支援をおこなったり、障がい者の雇用を促進し職場への定着を目的とした助成金です。

障害者雇用納付金制度に基づく助成金

障がい者が働くうえで、施設や設備の設置が必要な場合に支給される助成金です。

人材開発支援助成金

障がい者の職業能力を促進するため、職業訓練をおこなう際の経費や賃金の一部を助成するものです。

障がい者雇用の問題点①障がい者に対する知識がない

初めて障がい者を雇用する企業やこれまで障がい者と接する機会がなかった方にとって、どのように障がい者と働けばよいのか戸惑うことも多いと思います。

また、障がい者がどのような業務を遂行できるのか、何か問題が起きたときのどう対処すればいいのか分からないという意見も多いです。

このような情報や理解不足が、障がい者雇用の障壁になっています。

障がい者雇用のポイント

障がい者雇用のポイント

障がい者雇用の利益を最大限に活かすためには、雇用する際に大切なポイントを押さえておくことが大切です。

 

社内理解と協力を求める

障がい者雇用の社内理解を求めるときには、ただ「障がい者雇用促進法で義務付けられているから」という理由だけではなく、雇用によってどのようなメリットがあるのか、どのような計画で雇用を進めるのかを明確にし、社内で共有しましょう。

本人の能力や配慮すべき事項を社内で共有する

障がい者と一緒に働くことが初めてだと、障がい者の雇用に不安を覚える方もいます。

そこで、障がい者とのコミュニケーションの方法や注意点を社員に伝え、障がい者本人とも配慮事項や障がいの特性を話し合い、社内全体で共有するようにしましょう。

そうすることで、障がい者との相互理解につながり、社内理解の向上も期待できます。

緊急時の対応を決めておく

災害など不測の事態が発生した際にどのような対応を取るかも、あらかじめ決めておくことが大切です。

たとえば、火災や地震が発生すると車イスを使った身体障がい者などは、避難が難しいことがあります。

そういったときに、誰がサポートするのか、どのように避難するのか決めておくと安心です。

また、障がいの特性によっては勤務中に不調が現れたりすることがあります。

そのため、日々のコミュニケーションから、障がい者も自身の障がいについて伝える努力が必要です。

まとめ

障がい者の雇用は社会全体で取り組むべき課題として、多くの企業が障がい者を雇用していますが、まだまだ課題も残り、障がい者の雇用について不安を感じている方もいるでしょう。

しかし、障がい者雇用に利用できる助成金などもあり、雇用のポイントを押さえることで、健常者も障がい者も活躍できる企業を目指せますよ。

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