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賛成反対の議論が飛び交う「レンタルペット」について、今回はメリットと問題点を整理してみました。
ペットと暮らしたいけど暮らせない方にとって嬉しいサービスである一方、ペット側の負担は考えられているのか。
また、社会的意義を見出せるレンタルペットとはどのようなものなのか。
レンタルペットを利用しようと思っている方や、ペットの社会問題を知りたい方は、ぜひ一緒に考えてみましょう。
レンタルペットのメリットについて
レンタルペットとは、その名の通り犬や猫などのペットをレンタルできるビジネスです。
ペットを飼いたくても飼えない理由のある方にとっては、少しの時間でもペットとの暮らしを楽しめる夢のような話ですよね。
レンタル犬とは、その中でも犬のレンタルのことを指します。
レンタルペットのメリットはこちらです。
- 癒やしをもらえる
癒やされたい気持ちから、ペットと暮らしたいと思っている方もいますよね。
犬や猫といった動物には、アニマルセラピーといって、ストレスを軽減させてくれる効果が期待できます。
忙しく疲れる日常生活の中、愛犬や愛猫の癒やしがあれば嬉しいでしょう。
しかし、ペットを飼いたいと思っても、皆がすぐに暮らせるわけではありません。
ペット可の賃貸物件ではない、お世話をする時間がない、ペットロスが怖いなど理由は人それぞれです。
一時的な時間を過ごすレンタルペットは、このような理由のある方でも利用できます。
散歩や遊びなどでペットから癒やしをもらえると、また明日から頑張ろうと活力が湧いてくるでしょう。
- ペットとの楽しい時間を過ごせる
ペットと暮らしたことのある方ならお分かりでしょうが、ペットとの生活は楽しいばかりではありません。
なによりお世話が大変です。
日々の食事や散歩はもちろん、お風呂や掃除、予防接種なども意識しなければなりません。
また、ペットがいるとなかなか家を空けられなかったり、引っ越しをためらったりと気を遣う部分もでてくるでしょう。
他にも、近隣住民とのトラブルに配慮したり、ペットの死を悲しんだりと楽しい時間だけではないのです。
レンタルペットとは、そういった大変さや悲しさを感じず、純粋に楽しい時間を送れます。
命を預かっていることには変わりありませんが、一生お世話する責任と比べると、気が楽になりますよね。
- ペットのいる暮らしを想像しやすい
ペットとの暮らしを前向きに考えていて、我が家に迎え入れたいと考えている方にもメリットが大きいのがレンタルペットです。
お店にもよりますが、お泊まりOKのプランを申し込むと、数日間ペットとおためし生活ができます。
費用や心の準備ができていても、「本当にお世話できるかな」「ペットが懐いてくれなかったどうしよう」といった、実際に暮らしてみないと分からないことはあります。
レンタルペットは、その不安を減らしてペットを迎え入れる後押しをしてくれるでしょう。
レンタルペットの問題点は人間側が感じにくいポイントにある
レンタルペットで、人間側にメリットがあるのはもちろんです。
メリットがなければ需要はありません。
すると、ペットビジネスとして成り立ちませんよね。
では、犬や猫などのペット側にメリットはあるのでしょうか。
ここでは、レンタルペットの問題点をいくつかご紹介します。
- ペットを物扱いしている
保護猫カフェや動物愛護団体などは、「動物」としてペットを管理しています。
しかし、一部のショップ店員やブリーダーさんの中には、犬や猫を利益を生み出す「物」として扱う方がいます。
物扱いされるペットは、ひどい生活環境で育てられることもあるでしょう。
また、年をとったり人気がなかったりすると、処分されてしまう可能性も否定できません。
「犬や猫は私たちと同じ生き物だ」そう認識して適切に管理しているレンタル店がどれくらいあるのか不明な点は否めませんよ。
また、レンタルペットを利用する側も、ペットを物と認識しているケースがあります。
おもちゃや道具の代わりとして、レンタルペットを利用しようと考えている方ですね。
ペットは癒やしを与えてくれる道具なんかではありません。
- ペットの負担が大きい
ペットは生き物だと説明しました。
ペットは物ではないため、心の変化があります。
いくら人懐っこい動物だとしても、コロコロ変わる環境に送られるとストレスがたまるでしょう。
とくに猫は縄張りを大切にする生き物です。
自分が安心できる居心地のよい空間を求める猫にとって、さまざまな生活環境に放り出されるのは相当なストレスでしょう。
- 迷子や事故の可能性
レンタルペットを利用する際に、特別な資格や経験はほとんど必要ありません。
お店にもよりますが、少しの講習を受けてお金を払えばレンタルできる仕組みとなっています。
そのため、レンタルする側は、ペットのお世話が完璧でない方も多くいます。
このような方に無条件で命を差し出すのは、単純に怖いと思いませんか?
保証金をあらかじめ支払うルールのあるお店もありますが、そういうことではないでしょう。
人間で考えると、子どもに慣れていない方にお世話を任せるのと同じです。
事故が起きたり、ふと目を離した間に行方不明になったりしたら…。
考えるだけでも胸がつらくなりますよね。
犬や猫の場合、迷子になると交通事故に遭ったり、保健所へ連れられ殺処分の可能性が待っていたりします。
お金で命は買えません。
ペットをレンタルする考え自体に疑問が出てきますが、どうしても必要とする方には厳しい条件や講習を受けさせるなどの対応が必要でしょう。
- 「かわいい」だけではペットが与えてくれる本当の尊さに築けない
レンタルペットは気軽に犬や猫とふれあえますが、その分愛着も湧きにくいです。
一時的に「かわいいな」「癒やされるな」と考えますが、それは苦楽でいう「楽」の部分です。
レンタルの関係では、ケガや病気をしたときに寄り添ってあげたり、イタズラをやらかして注意やしつけをしたりなど、「苦」の部分を経験しません。
このような苦楽をともにすることで、ペットとの唯一の関係性を築けるのです。
ペットを家族の一員だと本気で認識している方々は、この深いつながりを経験しています。
結果として死を本当に悲しく思いますし、だからこそ悲しい別れにならないよう全力でお世話をします。
ペットが教えてくれるこの命の尊さは、レンタルでは分かりえない感情でしょう。
保護犬猫を対象としたレンタルペットのメリットや問題点
レンタルペットは、人間にとってメリットのある仕組みです。
しかし、ペットにとっては負担の大きいビジネスといえるでしょう。
とくに、レンタルされるために産みだされたペットのことを思うと、心苦しくなります。
では、殺処分されそうになっていた保護犬や保護猫の場合はどうでしょう。
里親を希望する方にペットを貸し出し、相性を見極める時間に使ってもらうのは、双方にとって有意義のあるもののように思います。
里親を希望する方にとっては、迎えた後のミスマッチで手放す可能性を減らせます。
そして、ペット側にとっては、迎えてくれる飼い主さんに出会う前段階として、人間とのふれあいに慣れる機会となります。
保護犬や保護猫の譲渡を目的としたサービスであれば、「レンタル用」として新たに生み出される命を防ぐことにもつながるでしょう。
保護犬や保護猫を不特定多数の人にふれさせる問題点は、「なにが起こるか分からないこと」です。
人に捨てられた経験を持っていたり、虐待を受けたことのあるペットだったりすると、トラウマを思い出させてしまうかもしれない危険性があります。
その犬や猫の特性をしっかり理解したうえで、トライアル目的としてサービスが展開されると、社会的に有意義かもしれませんね。
まとめ
レンタルペットは、ペットと暮らせない方の需要を満たしてくれる一方で、ペットに負担を強いるビジネスであることは否定できません。
犬や猫は物ではなく動物であるときちんと理解してから、議論をスタートしましょう。
保護犬猫の支援などを対象としたサービスが広まっていくと、「レンタル」などといった物扱いされたような名称が使われなくなるかもしれませんね。