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核家族化や地域の繋がりの希薄さが進む中、隣の家に住む家族がどんな生き方をしているか知らない人も増えてきたのではないでしょうか。
気付かないだけで、もしかしたら隣の家の家族に障がい者が住んでいるかもしれません。
そんなことを考えたことありますか?
もしそうだとしたら、家族の方々がさまざまな苦労や苦悩をして生活していることを理解してあげられますか?
今回は、障がい者を家族にもつ方々の声に耳を傾けながら「養護者の悩みはどうすれば解決できるのか」「第三者の私たちにできることは何か」を一緒に考える記事にしてみました。
当事者だけに限らず、障がい者の家族の問題や障がい者の住まいのことについて関心のある方は、ぜひ最後までお付き合いください。
家族の悩みやストレスには何がある?第三者が考えたいことは?
障がい者が家庭にいることで、どのような悩みやストレスがあるのでしょうか。
その声をいくつかご紹介します。
当事者の家族がどんな点に悩んでいるのか知ることで、周りが手助けできる部分はないか考えることができます。
・知的障がいの子どもをもつ親
子の年齢は高校生でも知能レベルが3歳ほどで、お留守番ができない状態。
親としては短時間勤務を希望したいが、会社からは「お子さん大きいのになんで…」と言われる辛さがあるそうです。
障がい者の中でも、その区分は軽度から重度までさまざま。
身の回りのことを自分でできる障がい者もいれば、トイレやご飯などをひとりでできない障がい者もいます。
ひとくくりに考えてはいけないことが分かりますよね。
障がいの程度の問題もありますが、親の過保護すぎる育て方のために、本来なら自分でできるはずのこともできないように育ってしまう子もいます。
初めての子育ては、どの親も初めての経験がたくさんです。
ただでさえ難しい子育て。
それに障がいの特性も合わさると、誰にも頼らずに生活していくのは難しいですよね。
子どもの障がいの有無に関わらず、子育てで誰かに助けを求めたり、理解を得たりできる環境があるのは大切なのです。
第三者の立場としては、子を持つ親の方々に、「これくらい大丈夫でしょう」と決めつけず、各々の事情に理解を示す態度をとれるとよいですね。
・知的障がいや精神障がいの兄弟がいる人
今は親が妹の面倒を見ているけど、親が亡くなったら自分が妹の面倒を見ないといけないのか…自分の将来を諦めなくてはいけないのか…。
さまざまな意見を読む中で、自分の人生を犠牲にするしかないのかと悩む家族は多いと感じました。
発達障がいやうつ病などの障がいがある方々の中には、上手く社会に馴染めず、成人しても実家で暮らしている方も少なくありません。
今は親の支えで生活できているけれど、親が亡くなったらどうするのか。
兄弟・姉妹に障がい者がいると、「自分が面倒を見なければ」と責任を感じてしまうのです。
やさしい方だからこそ、「家族だから支えたい。でも自分の人生も大切にしたい」「この先どうしたらいいのか分からない」と一層悩んでしまうのかもしれません。
お金の問題や、本人がどれくらい自立できそうなのか、施設入所はどうするかなど、親が存命の間うちにはっきりとしておいた方がよいでしょう。
また、兄弟・姉妹に障がい者がいる方は、友だちや恋人にその苦悩を相談できないケースも見受けられます。
第三者である我々としては、そのような方々に障がいに対する偏見を向けず、悩みや困りごとを聞いてあげる姿勢を示したいですね。
その上で、できれば相談機関や支援先の情報をなどを見つける手伝いができるといいかと思います。
障がい者とその家族はどのように関わったらよいのか
このように養護者である家族は、ときに悩みやストレスを抱えながら、社会生活を送っています。
養護者である彼らを支えるためには、障がい者への支援が家族だけで行うものではないことを認識していかなければなりません。
認識すべき対象は、社会全体でもあり、身の回りにいる第三者の人間であったり、当事者の家族だったりと、さまざまです。
「家族だから」で済まそうとしない社会づくり。
「家族だから」自分たちだけで何とかしないと思いつめる当事者の家族。
このような認識を崩していく必要があるでしょう。
ここでは、当事者の家族の立場として、どのような対応をとると悩みやストレスを解決できそうなのかまとめてみました。
・ひとりで解決しようとしない
第一に、家族がひとりで悩まないこと。
養護者である家族が周りにSOSの声をあげられない状況は、障がい者本人にとっても家族にとってもつらいことになります。
障がい者の身内をひとりでお世話すると、疲れやストレスがたまるからです。
そのストレスは、ときに虐待につながりかねません。
育児や介護に疲れて、家族を殺害してしまうニュースを見聞きしたことがあるでしょうか。
こういった事件は、周りに助けを求められなかった方だったり、自分だけで頑張ってきた方が引き起こしたりします。
誰かに相談できる状況だったら、協力してくれる人がいたら…。
変わっていたかもしれない未来。
養護者がひとりで悩まないことが、障がい者本人を救うことにも結びつくかもしれないのです。
「障がい者が家族にいるのは恥ずかしい」といった気持ちは本人にも失礼ですし、「知り合いに相談するのは迷惑かもしれない」といった気持ちも予測にすぎません。
まずは声をあげること。
他の家族や親せき、友だちなど身近な人の方が、深い心の支えにも繋がります。
しかし、抵抗があるなら行政の支援団体でもよいでしょう。
カウンセラーやSNSのコミュニティなど、一見すると障がいに関する相談先と関係なくても、心の拠り所となったり、思わぬ情報が入ってきたりしますよ。
・適切な距離を意識する
障がい者である家族のお世話をしていると、ずっと付きっきりになっていることはありませんか?
毎日付きっきりでは自分の時間が取れず、ストレスがたまってしまいますよね。
ストレスをためないためにも、障がい者本人の頼れる相手を増やすことが大切です。
例えば、障がい当事者の依存先が家族にしかない場合を考えてみましょう。
頼る相手が身内しかいないとき、その身内から多少ひどい扱いを受けたら、障がい者の方はどうするでしょう。
反発しますか?
それとも我慢でしょうか?
ほとんどの答えは「我慢」です。
これは、依存先が家族しかないために「家族に見放されたら生きていけない」と考えるからです。
つまり依存先が少なく、依存度が深いほど虐待につながる可能性が高いといえるんですね。本人が頼れるパイプが複数あると、虐待の危険も避けられますし、養護者のストレスも減少します。
障がい者本人が家族だけに依存せず、他の人や機関、物に頼りながら自立していく方向を目指すとよいでしょう。
「わおん」は自立を目指せる障がい者の住まい
障がい者とその養護者である家族がよい関係を築くには、適切な距離感が大切だとお話しました。
全てのお世話を家族だけで背負わず、ヘルパーさんを利用するのも、適切な距離を保つ上で役立つ生活スタイルでしょう。
しかし、ヘルパーさんはあくまで補助的な存在であり、本人の自立支援をしてくれるわけではありません。
障がいの程度や区分にもよりますが、ある程度自分のことは自分でできる障がい者には、グループホームでの生活をおすすめします。
障がい者グループホームは、さまざまな障がいを抱える方が、他者の支援を受けながら自立を目指す、数人で暮らすタイプの施設です。
施設といっても、グループホームはシェアハウスのような気軽さと楽しさが魅力的です。
「施設を出たけどひとり暮らしはできない」「家族だけの依存から自立できるような暮らしがしたい」このような方におすすめとなっています。
「わおん」は、自立を目指しながらペットと暮らせる障がい者グループホーム。
殺処分されそうになっている犬や猫を引き取って、グループホームで障がい者の方々と一緒に暮らしています。
わおんでの生活は、動物による癒しで生活の質が向上する効果が期待されているんですよ。
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その他にも、グループホームにはさまざまな種類があります。
気になる方は調べてみてくださいね。
まとめ
障がい者の家族が悩みやストレスをためないためには、SOSの声をあげること。
ひとりで悩まず、障がい者との適切な距離を保つことは、自分の身を守るだけでなく、障がい者本人の身を守ることにもつながります。
親が亡くなったあとを考えたときなど、今後の本人の自立をどうするか悩んでいるなら、グループホームも検討してみてはいかがでしょうか。