障がい者を雇用するための準備や採用面接での注意点とは?

「障がい者を雇用するための準備や採用面接での注意点とは?~企業向け~」

 

一定数の規模を超えた会社の障がい者を雇用する割合は、法定雇用率によって定めれております。

該当する企業は、この雇用率を「義務」として達成しなければならないことはご存知かと思います。

しかし、障がい者を雇用したことない企業の方や、障がい者の採用面接をしたことない人事の方の中には、何をどう進めたらいいのか悩んでいる方もいるかもしれません。

そこで今回は、障がい者の雇用を進めるうえでの準備や、採用面接で注意したいことをご紹介します。

障がい者雇用の採用までの流れをつかみたい方は、ぜひチェックしてみてくださいね。

障がい者を雇用するための準備とは?

障がい者を雇用するための準備とは?

障がい者の雇用をすするには、募集をかける前に計画をしっかりたてましょう。

事前に計画する内容はこちら。

  • 何人くらい雇用したいか
  • どの業務に配属するか
  • 雇用形態はどうするか

それぞれ計画の立て方をみていきましょう。

 

<計画①何人雇用したいか>

まずは、障がい者を何人雇用するか決めましょう。

人数によって、計画②の配属先の検討も変わってきますよ。

障がい者の雇用に初めてチャレンジする企業は、雇用人数の目安に法定雇用率を利用してもよいでしょう。

法定雇用率とは、企業や法人、行政が雇用すべき障がい者の人数の割合です。

2020年9月現在、民間企業の法定雇用率は2.2%となっています。

企業内で雇用している全体の人数が45.5人以上の場合、障がい者を1人以上雇用する必要がありますよ。

法定雇用率は法律で定められている雇用義務で、その都度改正があります。

2021年の3月までには、2.2%から2.3%へ引き上げられる予定です。

障がい者の雇用をするにあたり、この割合以上を目安としましょう。

もちろん、法定割合を超える雇用を考えるのも、障がい者雇用促進の点では大切です。

しかし、まだ障がい者雇用に慣れていない企業が、一気にたくさんの人数を雇用するのは大変だと思います。

数年の期間を見据えて、徐々に人数を増やす計画をたてるとよいでしょう。

 

<計画②どの業務に配属するか>

社内で雇用したい障がい者の人数が決まったら、どの職種、業務に配属するか計画しましょう。

ここで考えたいのは、「障がいにはさまざまな特性があること」と「任せられる仕事内容は何か」の2つです。

障がいにはさまざまな特性があるとは、主に「身体障がい者」「知的障がい者」「精神障がい者」の3つをいいます。

それぞれの特性にあった業務内容は何があるか考えてみましょう。

障がい者の雇用定着には、人数を重視するのではなく、適切な業務を与えることが大切です。

たとえば、障がい者に任せる業務内容として向いているのはこちら。

  • 確認作業や流れ作業などの軽作業(誰がやっても同じ結果になる比較的難易度の低い業務)
  • 資料整理や見積書などの書類管理や清掃業務(難しい意思決定を必要としない作業)
  • 商品発送やデータ入力など(一度覚えたら慣れてくる業務)

外部委託に任せているような業務や、マニュアルが整っている業務、余裕があれば進めておきたい業務などがポイントです。

どんな業務が向いているかは、個人によって異なります。

上であげた以外にも、社内で洗い出せる業務がないか検討してみましょう。

 

<計画③雇用形態はどうするか>

雇用人数と、その分割り当てられる業務の内容・配属先が決まったら、雇用形態を考えます。

雇用形態とは、正社員や契約社員、パート・アルバイトなどの働き方の区分です。

雇用形態によって、障がい者の雇用が「実雇用率」としてカウントされるかどうかが変わってきます。

そのカウント方法は就労時間で決められており、週30時間以上勤務の常用労働者は1人、週20時間以上30時間未満の短時間労働者は0.5人とカウントされます。

また、20時間未満のアルバイト・パートの場合は、実雇用率にカウントされません。

「在宅勤務者」や「トライアル雇用」などの雇用形態も、基本的にはこの労働時間によってカウント方法が異なります。

たとえば、法定雇用率を計算した結果、社内で5人以上の障がい者を雇用しなければならないとします。

実雇用率をクリアするには、さまざまなパターンが考えられます。

  • 常用労働者を5人雇用する
  • 常用労働者を4人雇用し、短時間労働者を2人雇用する
  • 短時間労働者を10人雇用する

このように、常用労働者と短時間労働者を、それぞれどの割合で雇用するかも計画できるとよいでしょう。

実雇用率の計算は、労働時間だけでなく障がいの程度によっても変わりますが、ここでは割愛します。

募集方法や採用面接で確認しておきたいポイントとは?

募集方法や採用面接で確認しておきたいポイントとは?

障がい者の雇用計画ができたら、実際に募集をかけて面接などの採用段階に移ります。

ここでは、募集方法と採用面接で確認しておきたいポイントをご紹介しますよ。

 

<障がい者雇用の募集方法>

募集方法は、大きく分けて4つあります。

 

・職業紹介サービスに求人を出す

ハローワークなどの就労支援の専門職員が、求職をしている障がい者に合う企業を紹介してくれます。

・学校へ求人を出す

特別支援学校などでは、就職を希望する生徒に求人情報を提供しているので、その仕組みを活用します。

・民間職業紹介業者に求人を出す

認可を受けた民間職業紹介業者が、求人に合った障がい者を企業に紹介してくれます。

・合同面接会での募集

障がい者を対象とした合同面接会で、就職を希望する障がい者に求人の募集をします。

どのような人材を求めるかで、募集先が変わってきます。

 

<障がい者の採用面接で気をつけたいこと>

求人に応募がきたら、採用面接を行います。

人事の方が悩むのはこの段階でしょう。

障がい者の職場への定着率は、高いものとはいえません。

最善の手を尽くして採用を決めても、実際働いてみたら「やっぱり合わなかった」と退職する障がい者の方もいます。

では、どうしたらよりよい採用ができるのか。

いくつかポイントをご紹介します。

 

まず、障がいの有無に関わらず、基本的な判断基準は同じだと考えてよいでしょう。

今までの職歴や、学校での経歴などから、社内で仕事を任せられる人材かどうか判断します。

この際、障がい者ならではの注意すべきポイントとして、合理的配慮を会社が行えるか考えなければなりません。

合理的配慮とは、障がいのある人が働くうえで、障がいのない人と同じように働けるよう、職場内で発生するさまざまな困難や障壁を取り除くことです。

たとえば、身体障がい者であれば四肢や視覚、聴覚など体の一部に障がいをもっています。

そのため、身体障がい者が職場内で困難なく働けるようになるには、このような合理的配慮を行う必要があります。

  • バリアフリーの環境を整える
  • 音声読み上げソフトを導入する
  • 筆談用の文具を用意する

知的障がいをもつ方への合理的配慮の具体例はこちら。

  • わかりやすいマニュアルの用意
  • 相手が理解できる会話やコミュニケーションの取り方をする

精神障がい者への配慮の具体例はこちらです。

  • 疲労がたまりやすかったり、強く緊張したりするため休憩時間を多めにとる
  • リラックスできる環境や時間などを考慮して業務を組む

 

これらの配慮ができる会社でなければ、障がい者を採用しても長く定着してはくれません。

応募してくれた方にどのような特性があり、どのような働き方なら会社とマッチするか考えましょう。

 

また、特性だけでなく、意思を明確に持っているかどうかもチェックしておきたいポイントです。

「就労支援の方にいわれて面接に来ました」

「親に働けと言われたので応募しました」

このような方の場合、積極的に働く意思が弱いため、長続きしない可能性もあります。

一般の求職者であれば「働きたい」から応募している方がほとんどです。

しかし、障がい者の中には自分の意思と関係なく応募する方もいます。

意思が弱い方の場合、定着率が低くなる傾向があるので注意しましょう。

もちろん、支援員のサポートや職場環境のよさが上手く噛み合って、定着につながるケースもあります。

そのため一概にはいえませんが、採用をする段階でどの程度の就労意欲があるかどうかは、チェックしておきたいポイントです。

この確認をしておくことで、採用後にどのようなフォローをする必要があるか改善点を考えられます。

焦らずに、まずは計画をたてましょう

まとめ

今回は、障害者の雇用に関して、人事や企業の視点からまとめてみました。

障がい者を初めて雇用しようと考えている場合、不安や疑問がたくさん出てくると思います。

焦らずに、まずは計画をたてましょう。

支援機関が相談に乗ってくれることもあるので、手づまりな状況なら外部に相談してみるのもおすすめですよ。

 

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