目次
今回は障がい者の就労支援に関する雇用についての記事です。
障がい者雇用とよばれる採用枠があるのはご存知ですか?
聞いたことがある方も多いかもしれません。
障がい者雇用の枠は、その名の通り障がい者が応募できる求人の枠です。
一般の採用枠となにが違うのでしょうか。
また、障がいのある方が就職活動をする際、障がい者枠と一般枠どちらの求人に応募したらよいのでしょうか。
それぞれを比較してまとめてみました。
障がい者雇用とは?その対象者について
障がい者雇用とは、障がいのある方でも就職の機会を得やすいように創られた制度です。
身体障がい者や知的障がい者、精神障がい者の方は「障害者雇用枠」と呼ばれる特別枠で就職できます。
障がい者雇用枠が法的に定められているため、障がいのある方は一般採用枠だけでなく、障がい者採用枠から応募することもできるんですね。
障がい者雇用の対象となるのは、障がい者手帳をもっている方です。
手帳の名称は自治体によっても異なりますが、身体障害者手帳や療育手帳、精神障害者保健福祉手帳などが障がい者手帳として認められています。
障がい者の雇用が法的に定めれているとご紹介しましたが、具体的な法律名は「障害者雇用促進法」です。
この法律に「法定雇用率」とよばれる制度があります。
法定雇用率では、「企業や公共団体は、ある一定割合以上の人数の障がい者を雇用しなければならない」と定められているんです。
そのため、事業主には障がい者を雇用する義務があります。
現在、その割合は民間企業で2.2%以上、国や地方公共団体で2.5%以上となっており、これからさらに引き上げられる予定です。
つまり、従業員が45.5人以上いる民間企業では、1人以上の障がい者を雇用しなければならないということ。
一般の就職が難しいとされている障がい者でも、さまざまな配慮があれば働ける方も少なくありません。
近年では、合理的配慮に取り組み、障がい者の積極的採用をおこなっている企業も増えてきたように思います。
障がい者雇用と一般雇用の違い
障がいのある方は一般枠だけでなく、障がい者雇用枠として就職採用されることもできるとお話しました。
就職活動の選択肢が複数あるんですね。
そこで、どちらに応募した方がよいのか悩む方もいるでしょう。
ここでは、それぞれの採用枠の違いについてご紹介します。
自分にとって働きやすいのはどちらか考えてみてくださいね。
<障がい者採用の特徴>
まずは、障がいがあることをオープンにし、障がい者採用枠に応募することのメリットを考えてみましょう。
障がい者採用枠で応募する場合、障がい者への就労サービス支援をしている機関の助けを借りながら就職活動ができます。
また面接の際に、自分の疾患について事業主に詳しく話せるので、就職後の心配ごとが減りますよ。
これらが採用前のメリットですね。
障がい者採用枠で雇用されたあとについては、「配慮してもらえる」ことが大きなメリットといえそうです。
通院や服薬のタイミングを配慮してもらえたり、業務内容を配慮してもらえたり…。
場合によっては、支援機関が企業の間に入って調整などをしてくれる可能性もあります。
自身の障がいについて会社が把握しているので、働きやすくなりますよ。
結果として、職場への定着率が高くなります。
デメリットは、求人数の少なさと賃金の低さ、「障がい者」としてのレッテルを貼られる場合もあることです。
障がい者枠の求人は一般枠と比べて少ないため、自分ひとりで仕事を探すのは難しくなります。
ハローワークなどの支援を借りて探すとよいでしょう。
賃金は職種や仕事内容にもよりますが、任される仕事が限られてくると、一般枠で働く人に比べて下がる傾向にあります。
そして、精神的なデメリットといえるのが「障がい者」として扱われることです。
もちろん、そのような扱いをしない方もたくさんいます。
しかし、障がい者への理解が十分に進んでいるとは言いにくい現状です。
そのため、そういう目を向けられることに辛さを感じる方もいるかと思われます。
以上が、障がいをオープンにして特別枠で採用されるメリットとデメリットです。
<一般採用の特徴>
次に、一般枠での採用の特徴をみていきましょう。
一般枠の採用に応募するメリットは、求人数の多さと賃金の高さです。
障がい者採用枠でのデメリットがこちらでは逆にメリットとなります。
ネットなどで求人検索をした方はわかるかもしれませんが、一般枠の求人数は障がい者枠と比べてとても多いです。
自分の希望する職種が障がい者枠で募集しているとは限りません。
働きたい職種や職業、地域にこだわりがある方は、一般枠での採用を考えてみるのもありでしょう。
また障がいをクローズにして働くと、さまざまな仕事を任せてもらえることが多く、結果として賃金が上がるケースがあります。
しかし、これも個人差や企業差があります。
任せられた仕事をこなせなければ負担に感じますし、「できない人」と評価されて昇進などに響く可能性もあるんです。
一般枠としての就職なら賃金が高くなるかどうかは、必ずしも言い切れない部分があることを理解しておきましょう。
一般枠で採用されるデメリットは、配慮をされにくい点です。
障がいの特性によっては難しい仕事内容でも、クローズにしていれば配慮されません。
また、通院や急な体調不良などに対応してもらえる可能性が低くなります。
そのため、人一倍苦労しながら仕事をしなければならなかったり、通院や服薬の時間を自分で調整しないといけなかったり…といった状況になります。
このような大変さがあるからなのか、障がい者が一般枠で就職した場合、職場定着率が低くなる傾向にあるという結果がでているんです。
参考サイト:「障害者雇用の現状等」厚生労働省職業安定局 平成29年9月20日
障がい者の特別採用枠と、一般枠。
どちらもそれぞれメリットとデメリットがありますね。
採用面接時に、事業主が障がい者であるかどうか積極的に質問するのはタブーとされています。
そのため、見えない障がいは簡単に隠せてしまいます。
どちらの採用枠で就職するか、実際に働いている自分を想像して考えてみるとよいでしょう。
障がい者雇用と一般雇用の就職活動について
「障がい者雇用の枠で就職したいけど、就職活動はどうしたらいいの?」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
障がい者枠と一般枠、大まかな就職活動の流れは同じです。
一般的な就職活動の流れはこちら。
- 何のために働きたいかを考える
- 自分の強みや弱みを知る
- どのような条件で働きたいか整理する
- 職種や職業を研究する
- 求人を探す
- 企業を深く知る
- 書類選考の準備
- 面接の対策
- 採用決定
主に、このような流れで就職活動を行います。
障がい者枠で就職する際は、上記の3と7と8に注意しましょう。
「どのような条件で働きたいか」は、雇用されるイメージを考えること。
障がいをオープンにして障がい者枠で就職予定なら、勤務時間や希望する配慮の内容を具体的に整理しましょう。
たとえば「持病の通院があるから、〇時くらいまでがいい」「あいまいな表現を読み取れないから、指示はわかりやすく出してほしい」といった希望ですね。
そして、その内容を応募書類に記載したり、面接で話したりする必要があります。
それ以外は、一般枠とあまり変わりはありません。
求人の検索が難しい場合や、就職対策に不安がある場合はハローワークなどの支援機関を頼るとよいでしょう。
ハローワークは一般の方でも利用する就職支援機関です。
就労に関するさまざまな支援を行っているので、ぜひ利用してみてくださいね。
まとめ
障がいのある方は、「障がい者枠」か「一般枠」かを選んで就職活動ができます。
どちらを選んで就職したいか。
また、障がいをオープンにするかクローズにするかの判断の参考になる記事になっていれば幸いです。
就職や転職は踏み出す勇気も必要ですよね。
就職に不安がある方や何から始めたらいいか悩んでいる方は、就労支援サービスを活用してみてはいかがでしょうか。